『笑う故郷』:カフカ的マルクス主義映画(グルーチョです) @DVD・レンタル

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昨秋、岩波ホールでロードショウ公開された『笑う故郷』、DVDで鑑賞しました。
原題は「EL CIUDADANO ILUSTRE」、不都合・不条理な市民の意で、英語タイトルは「THE DISTINGUISHED CITIZEN」。
こちらは「著名な市民」の意で、映画巻末に登場する本のタイトルと同じ(もしかすると、スペイン語タイトルも同じ意味なのかも)。
さて、映画。

アルゼンチンの故郷サラスを離れて40年の作家ダニエル・マントバーニ(オスカル・マルティネス)。
この度、ノーベル文学賞を受賞し、一躍、文豪の仲間入りを果たした。
彼のこれまでの作品は、故郷サラスを舞台にしたもの・・・
それから5年。
新作をかけないダニエルは、あまたある手紙の中から、故郷サラスからの招待状を見つけ、スケジュールをやりくりして帰郷することにした。
40年ぶりの故郷・・・それほど変わり映えもしない村。
熱狂的に迎えられたダニエルだったが、小説で悪し様に書いていたことが判明し、さらには、住民のやっかみも受けて、居づらくなってしまう。
ただひとつの慰めは、かつての恋人との再会であったが、彼女が結婚相手が、一番厄介だった・・・

といった物語で、はじめのノーベル賞受賞式を除いて、その後、第1章、第2章・・・と綴られていきます。
ここに、この映画の秘密があるのですが・・・それは後程。

冒頭から、結構、シニカルな映画だということがわかります。

ノーベル賞受賞のスピーチの席で、ダニエルは、この賞の受賞は作家のしての終わり、だとスピーチします。
権威のある賞を授ける団体には、断固として、与しない・・・

あれ、これって、「わたしを会員にする会には決して所属したくない」というグルーチョ・マルクスの言葉ではありますまいか。
でもって、これ、ウディ・アレン『アニー・ホール』の冒頭で、アレンが画面に向かってしゃべる台詞。

ということで、この映画、端から一筋縄ではいかないことがわかります。

そんでもって、故郷に戻ったダニエルを待ち受けていたのは、古色蒼然とした村。
でも、それは表層ばかり。
居心地が悪いこと、しきり。

そして、それは、次第にカフカ的状況にも似た情況に陥っていきます。

で、最後には悲劇・・・

と思いきや、その後の人を食ったようなエピローグ。
どこまでが事実で、どこからが虚構なのか・・・

まぁ、作家のフィルターを通してしまえば、すべてはフィクション・・・という小説家の創作の秘密、ととらえることも出来、お堅い一辺倒の岩波ホールがロードショウするにしては珍しい類の映画だったと言えます。

にしても、ここのところ、「作家の創作秘密」を扱った映画が多いような気がします。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:46本
 外国映画37本(うちDVDなど 3本)
 日本映画 9本(うちDVDなど 0本)

旧作:2018年以前の作品:40本
 外国映画33本(うち劇場鑑賞 3本)←カウントアップ
 日本映画 7本(うち劇場鑑賞 1本)
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この記事へのコメント

おすもうさん
2018年07月24日 14:38
故郷は遠くにありて思うもの、その通リ。でも創作の源は故郷にしかない作家は、やはり一番故郷にとらわれているんだね。かわいそうに。
2018年07月25日 21:28
おすもうさん、コメントありがとうございます。
ま、ひとは何かに囚われているので・・・
主人公はまだましな部類の囚われ方かも。

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