『沈黙』:ベルイマン的怪奇不条理コメディ&ドラマ @特集上映

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さてさて、ベルイマン生誕100周年映画祭での鑑賞2作目は『沈黙』。
1962年の製作で、64年に日本公開されているのですが、78年のインターナショナル・プロモーション配給でのリバイバルが印象深いです。
とはいっても、当時はまだベルイマン映画にまで到達しておらず、今回が初鑑賞。
前作『冬の光』に続いて、「神の沈黙」3部作と呼ばれる作品の第3作なのですが・・・
誰が、そんな呼び方をしたんだ!と始まって早々に思いました。
さて、映画。

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エステル(イングリッド・チューリン)と妹アナ(グンネル・リンドブロム)の姉妹は、夏の盛りに、妹の幼い息子ユーハン(ヨルゲン・リンドストロム)を連れて旅をしている。
目的は、この夏、ユーハンを祖母のもとに送り届けることであった。
その途中の、列車のコンパートメントは恐ろしく暑く、アナは全身汗だく。
そんな中、エステルは喀血の発作を起こしてしまう。
三人が急遽降り立った街は、言葉が全く通じない街・・・

といったところからはじまる物語で、設定からすれば、ほとんどコメディ。

当初、どこへも出ることはできないホテルに閉じ込められた三人。
接するのは、ホテルの年老いたボーイのみ。
言葉当然わからない。
その上、この街へ到着する直前、ユーハンが車窓からみたのは、延々と連なる戦車の列。
ホテルの外では、姿はみえないが、戦闘機が行き交う音がしている・・・

って設定なので、まじめに観るのが馬鹿らしくなりました(というか、そこが狙いだと思うのだけれど)。

そうするうちに、妹は旅の疲れをとって香しい香水をつけて街に出、残された姉は(何故か知らねど)抑圧されたストレスを過度の飲酒で抑えようとします(さらには自慰に発展する)。
ユーハンはホテルの廊下を行き来するうち、7人のこびと(白雪姫のイメージか)に出逢ったりし、その間、アナは町のバーで男にそそられ、劇場のボックス席で情交している男女に刺激され、ついにはバーの男を誘って、教会の陰で情事を愉しみます(楽しんでいるかどうかは別なのだが)。

ここまでの展開、後のスタンリー・キューブリック監督『アイズ・ワイド・シャット』や、フランツ・カフカ諸作を思い出させます。

で、これのどこが「神の沈黙」なのか・・・と思っていると・・・
いや、最後まで、別に「神」の概念はなく、うーむ、誰が、そんな呼び方をしたんだ!と、ここでもまた(心の中で)叫んだ始末。

映画はその後、姉妹の過去のいきさつや確執が描かれていくのですが、前半の無責任感からは、まったく常識的な感じ。
いや、まぁ、常識的ではないのかもしれないが・・・

途中、ユーハン少年が描く絵が、悪魔か吸血鬼を思わせる絵だったり、ホテルの年老いたボーイの容貌が「ノスフェラトゥ」に似ていたりとか、朝、ホテル下の道路を左から右に通って行ったロバ車が夕方に反対に戻って来たりとか、さらには、夜中、寝静まった街中を戦車が通って行ったりとか、1966年製作の『狼の時刻』でもみせた(1956年『第七の封印』の冒頭も)怪奇趣味が満載で、そんな雰囲気で、ベルイマンにとって(当時)謎だった(と思われる)女性の深層心理(エロスとタナトス)に焦点を当てた作品、というのが今回観ての感想です。

繰り返すと、、「神の沈黙」3部作って誰が言ったんだ?
(って、ベルイマン本人だったりして・・・)

評価は★★★★(4つ)としておきます。
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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:46本
 外国映画37本(うちDVDなど 3本)
 日本映画 9本(うちDVDなど 0本)

旧作:2018年以前の作品:46本
 外国映画39本(うち劇場鑑賞 6本)←カウントアップ
 日本映画 7本(うち劇場鑑賞 1本)
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