『菊とギロチン』: 大正末期の不穏な時代の物語だが、平成も末期 @ロードショウ・シネコン

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落穂ひろいDVD鑑賞のレビューアップをしているうちにレビューを忘れていた作品がありました。
9月に観たので、もう1か月以上の経ってしまいました。
作品は『菊とギロチン』。
『64 ロクヨン』前編後編などの瀬々敬久監督作品です。
さて、映画。

舞台は大正末期、関東大震災後の日本。
震災後には朝鮮人虐殺事件などもあり、世の中には不穏な空気が漂っている・・・

といったところから始まる映画は、中濱鐵(東出昌大)をリーダーとする反体制組織「ギロチン社」と、岩木玉三郎(渋川清彦)率いる女相撲一座「玉岩興行」の物語が交互に描かれ、それが途中で交叉していくという、3時間を超える長尺。

反体制組織の中濱は稀有壮大な理想の持ち主だが、ともすれば、誇大妄想的なところもあり、まぁ、ホラ吹き・いい加減男の側面もある。
東出昌大がそんな人物を魅力的に演じていて、『寝ても覚めても』もあり、今年は東出昌大の当たり年といえよう。
また、組織には、現実派でインテリの古田大次郎もおり、佐藤浩市の息子・寛一郎が、なかなかナイーブに演じていて、これまた好演。

女相撲一座の物語にも、ふたりの中心人物がいて、ひとりは花菊。
暴力夫の耐えかね家出した貧しい農家の嫁で、相撲など取ったこともない、華奢な若い娘だが、それが映画の中でどんどんアイデンティティを持ち、成長していく。
花菊を演じる木竜麻生は、これまで『まほろ駅前狂騒曲』などに出演していたようだが、観るのははじめて。
あまり特徴のない雰囲気なのだが、役柄にあわせて、どんどん顔つきが変わっていくあたり、今後が楽しみ。
もうすぐ公開の『鈴木家の嘘』にも大きな役で出演している。

女相撲のもうひとりは十勝川。
一座随一の美人であるが、裏では身体を売って糊口を凌いでいる。
そんな彼女は朝鮮人で、台頭してきた日本軍の横暴に耐え兼ね出奔してきた経緯を持つ。
映画では、あまり目立たないように描かれていたが、途中から彼女の位置づけが重くなってくる。
演じるは、韓英恵。これもまた、好演。

軍部が台頭し、徐々に自由が乏しくなった時代での、いわば最下層のひとびとの物語。
大正時代末といえば、もう100年も昔のことなのだけれど、不穏な空気は、いままさに、そこにある空気と同じ。

中濱が逮捕された後、映画の勢いは少し衰えてしまうのだが、「ギロチン社」の面々は実在の人物なのだから致し方ないか。
映画の最後に、彼らのその後が残された写真とともに綴られるが、だれひとりとして自由に生きられた者はいない。

さて、平成も末期。不穏な空気は、そこにある空気・・・

評価は★★★★(4つ)です。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:68本
 外国映画54本(うちDVDなど 4本)
 日本映画14本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ

旧作:2018年以前の作品:65本
 外国映画58本(うち劇場鑑賞13本)
 日本映画 7本(うち劇場鑑賞 1本)
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  • 菊とギロチン

    Excerpt: 大正末期、関東大震災直後の軍部が権力を強めつつあった時代。 東京近郊に女相撲一座がやって来る。 女力士たちは、婚家から逃げ出した花菊や、元遊女で朝鮮人の十勝川などワケあり娘ばかりだった。 この地に流れ.. Weblog: 象のロケット racked: 2018-10-24 02:12