『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』: 愛と執着と幽霊と人間 @ロードショウ

画像

11月に入って2本目の新作映画。
作品は『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』。
この映画が、期待と不安は綯い交ぜながらも、観たい映画リストでは最上位でした。
さて、映画。

米国テキサス州の片田舎。
郊外の小さな一軒家に住む若い夫(ケイシー・アフレック)と妻(ルーニー・マーラ)。
夫は、まだ芽が出ていない音楽家。
ふたりが暮らす家では、突然大きな音がするなどの不可思議な現象が起きていたが、幸せな日々を送っていた。
そんなある日、夫が自宅前で自動車事故に遭い、他界してしまう・・・

といったところからはじまる物語。

その後、他界した夫が霊安所の冷たい寝台から白いシーツもろともムックと起き上がり、自宅へ戻ってくる。
彼自身、死んだことがわかっているのかいないか、それはわからないが、ただもう一度、愛しいひとと一緒にいたい、妻と心を肌を交わしたいと願っているが、それは妻に届かない・・・と展開していきます。

で、こういう展開だと、ははぁん、どこかで妻が気づいて、再び愛おしかった日々の記憶が蘇り・・・というようになるだろうなぁ、なんておもっていたけれど、そんなことにはならない。
もう、ほんとにそんな安易な展開にはならない。

なので、ストーリー的には、ここいらあたりでギブアップするひとも出るだろうし、それ以前に、ワンシーンワンシーンが長い(ひとによっては、なんと無駄な描写かと思うほど長い)ので、開始早々、5分くらいでギブアップするひとも多いことと思います。

けれども、そんな長い長いカットは、生きていることの証のようなカットで、普段、わたしたちがおこなっていることに他ならず、この長い長いカットがないと後半の演出が活きてこないのです。

映画はその後、妻はゴーストとなった夫に気づくこともなく、家を出ていきます。
夫は家から出ていけない。
日本的な幽霊だと、宙を飛んでいけばいいんじゃない、とも思うが、なにしろ霊安所から「歩いて」戻ったのだから、自動車に乗った妻についても行けないし、妻がどこへ行ったなどは見当もつかない。
そういうわけで、夫は家にいるしかなくなってしまい、愛する人が戻ってくるのをひたすら、ただひたすら待つだけになる・・・
と、まぁ、なんともはや、切ない物語。

けれど、時は、時間は、ゴーストの夫を取り残したままま過ぎ去っていく・・・
住む人は変わり、家自体も変わってしまう。
しかし、途中、夫のゴーストは別のゴーストの姿を家の中でみてしまう。
そのゴーストが言うには、「誰かを待っている。でも、それが誰かも忘れた」と。
その別のゴーストは、家が解体されるときに、一緒に消えてしまう・・・

このシーン、結構、驚きました。
けれど、考えるに、それは、「執着」が何かによって消し去られてしまったから。

ここに至って、この映画の主題が出てきます。

さて、その後・・・
ここからはストーリーは書きません。
ビックリするような展開です。
時間は、さらにさらに早く流れていきます。
前半の長い長いカットが活かされます。

長い長い時間の旅、長い長い自分の思いだけを閉じ込めた旅の終わりにゴーストが見つけるもの。
それは画面には明らかに示されませんが、それは妻からの愛と感謝と別れの言葉だったのでしょう。
その言葉は、観るひとが「感じて」くれればよいのだと、監督のデヴィッド・ロウリーは言っているのだ思いました。

監督と主演ふたりは『セインツ 約束の果て』でも組んでいますが、今回も滋味深い味を出しています。
とても好みの映画でした。

ただし、終盤、この映画の枠組みの(ような)観念について話すシーンがあるのですが、ちょっと、説明しすぎな感があったことを付け加えておきます。

評価は★★★★☆(4つ半)です。

------------------
2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:76本
 外国映画61本(うちDVDなど 8本)←カウントアップ
 日本映画15本(うちDVDなど 2本)

旧作:2018年以前の作品:72本
 外国映画63本(うち劇場鑑賞15本)
 日本映画 9本(うち劇場鑑賞 3本)
------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ぷ~太郎
2018年11月30日 15:20
なんとまあ、切ない物語でしたね。最初は「人間がシーツかぶっている感」が少し慣れなかったのですが、すぐそんなことは忘れてしまいました。突然死だったから、妻と幸せに暮らした所から、その想い出から離れられなかったのでしょうね。本当にホントに長い長い時を経て妻の思いにふれた瞬間は、観ている方としては救われた思いがしました。長いといえば、妻がもらったパイ(チョコレートパイ?)をただひたすら食べ続けるシーンの長かったこと。演じたルーニー・マーラははじめてパイを食べたそうで、そしてもう食べることはないでしょうと言ったとか。そりゃそうでしょう!
2018年11月30日 20:42
ぷ~太郎さん、ほほぉ、ルーニー・マーラはパイを食べたことがなかったのですかぁ。
たしかに、無理くりに食べている感がありましたが、その無理くり感は生身の感じそのままだったわけですね。

この記事へのトラックバック

  • A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー

    Excerpt: 田舎町の小さな一軒家で若い夫婦のCとMは幸せな毎日を送っていたが、夫Cは交通事故で死亡してしまう。 妻Mが夫Cの死亡を確認し病院を去った後、夫Cはシーツを被った状態で起き上がり、そのまま自宅まで戻って.. Weblog: 象のロケット racked: 2018-12-01 11:12