『恐怖の報酬』 ウィリアム・フリードキン監督オリジナル完全版 : 逃れれれない運命 @ロードショウ

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この秋もっとも関心があったのがこの映画。
ウィリアム・フリードキン監督の『恐怖の報酬』のオリジナル版。
少し解説めいたことを書くと・・・
この映画、アメリカでは1977年に封切られており、当時のメジャー映画会社パラマウントとユニヴァーサルの共同配給。
(ただし、日本では、同社2社に加えてMGM製作映画を、CICが配給していたので、米国メジャー2社映画というようなゴージャス感はなかった)。
その上、本国米国で1997年サマーシーズンに封切られた時に動員が上らず、結局、日本ではその翌のお正月映画ではなく、3月ぐらいに公開されました。
さらに、今回「オリジナル版」と冠されるように、米国以外では30分近くカットされたインターナショナル版での公開となりました。
ま、そういう経緯はあるにせよ、当時「すこぶる評判の悪かった」この映画が、オリジナル版だからといって、そんなに作品が良くなるのか・・・
そういう思いで、不安8割、期待2割ぐらいで鑑賞しました。
あ、 日本初公開のときにも観ています。
さて、映画。

映画の中心は、アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督のフランス映画『恐怖の報酬』と同じ。
なんらかの理由で、ニトログリセリンをトラックで運ぶ男たちの物語。
運べるのか運べないのか、ハラハラドキドキのストーリー。

なのだけれど、この映画ではそんなハラハラドキドキは全体2時間のうち30分ぐらいしかない。
もう少し長いかもしれないが、実はそんなところに脚本も演出も力を入れていない(とはいえ、ポスターのメインデザインのつり橋渡河のシーンはハラハラドキドキであるが)。
なので、原本『恐怖の報酬』とはまるっきり違っている

いや、話の骨子は同じなのだが、まるで印象も、製作の狙いも異なっている。

インターナショナル版を観たのは初公開時の40年前なので、まるで憶えていないのだが、冒頭にしつこいぐらいに描かれる「恐怖のトラック」に乗り込まざるを得なくなる面々の話が興味深い。

ひとりは暗殺者。
ひとりはユダヤ人活動家。
ひとりは銀行の重役と懇意にし、それをネタに詐欺まがいの出資を受けている実業家。
ひとりはアメリカのギャング・・・といった、いわばアウトローたち。

いやはや、そんなアウトローたちに同情もへったくれもないのだけれど、そんな彼らの日常行動を丹念に描き、結果、どれもに人死に出る・・・
この前半が映画としてはすこぶる秀逸で、全世界各国各地で撮った人々の、顔顔顔顔顔がカットカットの間に挿入されます。

そして、エピソードのは「死」がまとわりつく・・・

って、米国メジャー映画会社2社が共同で配給する内容では決してなく、現在のエンタテインメント作品重視のハリウッドではありえない。

という、前半1時間はすこぶる興味深いのだけれど、ニトログリセリン運搬になってからは、演出冴えない。
唯一、ポスターにもなっているつり橋渡河シーンがハラハラドキドキなれど、あとの緊迫感はいまひとつ。

なので、この後半中心に編集された(と思うのだけれど)インターナショナル版は、やはりつまらなかった、という評論は正しかったようにも思えました。

とはいえ、個人的には、今回のオリジナル版、「逃れれれない運命」を巧みに描いており、当時の混沌とした世界世情もあわせて絵ききり、「いま観るべき映画」としての価値は高かったです。

評価は★★★★(4つ)です。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:78本
 外国映画62本(うちDVDなど 8本)
 日本映画16本(うちDVDなど 2本)

旧作:2018年以前の作品:74本
 外国映画65本(うち劇場鑑賞16本)←カウントアップ
 日本映画 9本(うち劇場鑑賞 3本)
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