『サンダカン八番娼館 望郷』: 「恨郷」が彼女たちの胸のうちだった @特集上映

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以前から観たいと思っていた『サンダカン八番娼館 望郷』、国立フィルムアーカイブ(旧フィルムセンター)で鑑賞しました(鑑賞してからかなり日が経ってからのレビューアップです)。
監督は、個人的に、近年富みに気になる監督になっている熊井啓
今回は、美術監督の木村威夫の特集上映なのでしたが。
さて、映画。

明治から大正にかけて南方の島々に渡った「からゆきさん」。
寒村から身売り(人身売買)された少女たちの仕事は、からだを売ることだった・・・
太平洋戦争から25年経った頃のこと、女性史社会学者の三谷圭子(栗原小巻)が偶然出会った元からゆきさのサキ(田中絹代)から語られる境遇は、想像以上のものだった・・・

という物語で、映画の出来もさることながら、語り継がれるべき物語であることはまちがいない。

近世といってもいい(つまり現代ではない)頃の日本は貧しく、この映画で描かれていたようなような婦女子の人身売買は日常茶飯事だった。
そういうなかでの暮らしぶりは、過酷を極める。

そのからゆきさん時代の若いサキを演じるのが高橋洋子
先ごろ『八重子のハミング』で久しぶりにスクリーン復帰をしましたが、体当たりの熱演ぶりには唸らされます。

南方、サンダカン娼館での暮らしから数年経ち、故郷へ戻ってきても、サキには居場所がない。
家は兄が継ぎ、身体を売っていたサキのことは、世間体が悪い・・・結句、サキは満州に渡ることになる。

当時の女性の虐げられかたは半端なく、驚かされるばかりなのだが、女性の立場は現代もそんなに変わっていないのではありますまいか。
シングルマザーの貧困度などが報道されるたびに、そう思わざるを得ません。

社会学者の圭子がサンダカンの跡、そして女娼たちが建てた墓を見つけるのが、この映画の終盤のエピソードなのだが、彼女たちの墓がすべて本土ニッポンに背を向けていた・・・というのが心に熱くきます。
タイトルは「望郷」だが、恨郷、が彼女たちの胸のうちだった・・・

評価は★★★★(4つ)です。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:79本
 外国映画63本(うちDVDなど 8本)
 日本映画16本(うちDVDなど 2本)

旧作:2018年以前の作品:76本
 外国映画66本(うち劇場鑑賞16本)
 日本映画10本(うち劇場鑑賞 4本)←カウントアップ
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  • サンダカン八番娼館 望郷

    Excerpt: 女性史研究家・圭子は天草で老婆サキと出会う。 サキはかつてボルネオのサンダカンへ連れて行かれた“からゆきさん”であった。 八番娼館で男に身を売る地獄の生活、ゴム園で働く秀夫との愛…。 サキの重い口がい.. Weblog: 象のロケット racked: 2018-12-13 12:02