『タクシー運転手 約束は海を越えて』:韓国流の社会派+エンタテインメント映画 @名画座
ことし初めての名画座2本立て鑑賞です。
作品は、いずれも昨年公開の韓国映画。
まずは『タクシー運転手 約束は海を越えて』から。
1980年の韓国ソウル。
娘とふたり暮らしの個人タクシー運転手キム・マンソプ(ソン・ガンホ)。
実入りは少なく、家賃も4か月も滞納している。
そんなとき、運転手仲間が集まる食堂で、耳寄りな話を仕入れる。
光州まで外国人を運べば10万ウォンになるというもの。
マンソプは、その仕事を横取りして、外国人記者ユルゲン・"ピーター"・ヒンツペーター(トーマス・クレッチマン)を光州まで運ぶことにした。
時代は、韓国民主化運動の真っ最中。
光州は軍隊によって封鎖されていることをマンソプは知らない・・・
というところから始まる物語で、光州事件を扱った韓国映画には『ペパーミント・キャンディー』(1999年、ソル・ギョング主演)、『光州5・18』(2007年、アン・ソンギ主演)があるので、今回のソン・ガンホ主演の本作が出たことで、韓国三大俳優がそれぞれ1本ずつ光州事件の映画に主演したことになる。
光州事件は、簡単に説明すると、1980年5月17日に全斗煥(後に大統領)らが起こした軍事クーデターに反対してデモを起こした学生を中心にした光州市民に対して、軍部が武力制圧したもの。
ソウルでもデモが行われていたことは映画の冒頭でも描かれ、愛国心の強いマンソプはその様子を腹立たしく思っている。
そこへ来ての光州へのピーターの輸送。
事情を知らないマンソプとのやり取りは異文化の出逢い風で、コメディ色が強い。
また、光州へ着いてからも、一刻も早くソウルに戻りたいマンソプの行動など、全体的には笑わせる要素が強い。
が、光州での市民と軍隊との衝突を目の当たりにしてから、マンソプにヒューマニズムが、これでいいのかという義憤とともに湧き上がってくるあたりからシリアス度合いが強くなってきます。
ただし、終盤にもう一度、韓国映画特有のエンタテインメント描写(カーチェイスなど)が出て、この塩梅がいいのかどうか、ちょっと疑問なところ。
とはいえ、137分の長尺を飽きさせずに社会派映画をみせようという心意気は悪くない。
評価は★★★☆(3つ半)です。
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2019年映画鑑賞記録
新作:2019年度作品: 4本
外国映画 4本(うちDVDなど 0本)
日本映画 0本(うちDVDなど 0本)
旧作:2019年以前の作品: 7本
外国映画 5本(うち劇場鑑賞 2本)←カウントアップ
日本映画 2本(うち劇場鑑賞 2本)
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