『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』:被害者家族、加害者家族、それぞれの心情 @DVD

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一昨年秋に小規模ロードショウ公開された日本映画『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』、DVDで鑑賞しました。
DVD化は意外と早く、昨年2月にDVD化されていました。
レンタル店ではリリースから1年ほどで店頭から姿を消すことも珍しないので、レンタル出来て幸いでした。
さて、映画。

2年前に一人娘みちよが嫁ぎ、いまは夫とふたりで東京の郊外で暮らしている晴美(西山諒)。
ある日、みちよが夫の孝司と喧嘩してきたと言って実家に戻ってくる。
ほどなく、孝司が包丁片手にみちよを追って実家に乗り込んで来、実家の二階でみちよを刺殺してしまう。
裁判で孝司は、みちよが不倫相手と結託して自分に保険金を掛けて殺そうとしていることを知ったことから常軌を逸して犯行に及んだ、ふたりのやりとりはみちよの携帯電話のメールに残っていると供述するが、みちよの携帯電話は発見されず、孝司に保険金も掛けられておらず、みちよ殺害前に彼女の不倫相手も殺していたことから、孝司は死刑判決を言い渡される・・・

といったところから始まる物語で、証拠であるみちよの携帯電話は母・晴美が見つけて隠匿し、内容を解明したいとするのだがロックがかかっており、内容はわからない。
孝司の審理は二審まで進んで未決囚として収監されている、晴美の夫は離婚して、宗教に助けを求め、孝司を赦した、と晴美に告白する・・・と展開する。

で、こういうストーリーでサスペンスミステリー系エンタテインメントだったら、事件の真相が明らかになり、なんらかのカタルシスを得ることでおわるのだけれど、この映画はそんなところを目指していない。

タイトルにあるとおり、その後、晴美は「娘を殺した死刑囚(孝司)と対話」するが、思惑は様々である。
そもそも、孝司はなぜ娘を殺したのかを含めて、真相はどうだったのか。
これを中心にして、夫はなぜ彼を赦すと言ったのか、自分の心の平安はどこにあるのか、彼に娘を殺す理由あり、それに全面的に納得できないとしても、その理由に理があるならば死刑が妥当(当然)なのか・・・などなど。

事件の真相を知ること、そして自分なりにそれを納得することは、晴美の生きる縁(よすが)。
けれども、裁判では真相は明らかにされず、自身でも明らかにできない・・・という二進も三進もいかない苦しさ。
かてて加えて、劇中語られるように、「加害者には彼を助けようとかいう人もいるのに、被害者の母である自分は孤独である・・・」というあたり、かなりヒリヒリです。

被害者遺族である晴美と夫、加害者である孝司とその母親、それに弁護士、さらには被害者遺族面をし、かつ世間の代表のようなふりをしている晴美の弟夫婦など、彼らの身上のどれもが、ある種の正しさ(善というのではなく、理がある、の意)を感じます。

事件の顛末・結末には納得(いわゆるカタルシスを伴った納得)はできないのですが、事件を通じて垣間見た人々の心情には納得できました。

監督・脚本・編集は、これが長編2作目のインディペンデント映画作家の佐藤慶紀

評価は★★★★(4つ)です。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品: 8本
 外国映画 8本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 0本(うちDVDなど 0本)

旧作:2019年以前の作品:15本
 外国映画11本(うち劇場鑑賞 3本)
 日本映画 4本(うち劇場鑑賞 2本)←カウントアップ
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