<回想録>80年代 大阪の映画館 上六・今里。東大阪

回想録採録、今回は千日前通りを東へ進んで東大阪の小阪までの記事4本です。

<回想録>80年代の大阪の映画館のこと(国名小劇・上六映劇)(初出:2015/5/19(火) )

前回の最後に「次回は千日前通りを東へ進んで上六あたりから」と書いたので、御堂筋から千日前通りを東へ進んで上六へ・・・
と途中、日本橋一丁目の交差点(略称、日本一の交差点)の近くに個性的な映画館がありました。
その名は国名小劇(くにめーしょうげき)。
1988年4月にオープンした客席数40に満たないミニシアター。
2000年代の初めに閉館して、その後、千日前国際劇場の閉館の折に成人映画上映館になりました。
現在も営業中のはず・・・

この劇場で観たのは数回(たぶん2回じゃないかしらん)。

1回目はオープニング記念でシネセゾン配給映画を連続上映したとき。
映画は『アメリカン・ウェイ』。
デニス・ホッパー、マイケル・J・ポラード主演のブラックコメディなんだけれど、ガサガサと落ち着きのない映画だったぐらいしか覚えていません。

当時の前売半券が手元にあったので、画像をアップしておきます。
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開館第1弾はアンジェイ・ズラウスキ監督、ソフィー・マルソー主演の『狂気の愛』だったのね。
オープニングの『狂気の愛』をパスしたのは、先に観たアンジェイ・ズラウスキ監督の『私生活のない女』がさっぱり判らなかったからだろうなぁ。
後に観たイザベル・アジャーニ主演の『ポゼッション』もさっぱり判らなかった。
しかし、アンジェイ・ズラウスキという名前の響きはインパクトがあって、なんだか名前だけで恐ろしい。
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で、もう1本はクリント・イーストウッド監督・主演の『ホワイトハンター ブラックハート』。
象狩りに憑りつかれた映画監督の映画なんだけれど、いまひとつピンとこなかったです。

アフリカの自然を舞台に、遅々として進まない映画づくり。
そこに登場する映画監督のわがまま。
この映画のテーマってなんなんだろう、と思っているうちに終わってしまったような印象があります。
うーむ、あまりに小さいスクリーン(たぶん畳1枚ぶんぐらい)で観なきゃならないアフリカの風景に、どことなくイラっときたのかもしれません。

と個性的な映画館であった国名小劇ですが、あまり相性はよくなかったです。

あっそうそう、この映画館、開館から連日オールナイトという荒業上映でした。
前売券の裏面に上映時間の記載がありましたので、画像をアップしておきます。
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で、さてさて、上町台地を上りきったら、上六。
近鉄上本町駅の南側に映画館が4館ありました。

2館は現在、新歌舞伎座のはいっているビル・上本町YUFURAの場所にありました。
このビルの前は今年2015年に帰阪した際、前を通って、「えぇぇ、新歌舞伎座・・・?」と驚いたものです。

1980年代には上六映劇上六地下劇場と2館あって、1985年に閉館した後、演劇の近鉄劇場と近鉄小劇場になりました。
近鉄劇場には入ったことはないのですが、近鉄小劇場には何度も「そとばこまち」の舞台を観たものでした。

おぉっと、映画館のことでしたね。
上六映劇は洋画ロードショウ、上六地下劇場が東映封切館でした。

映画を観たのは上六映劇だけで、ここも2回だけだったと記憶しています。

1本は『グローイング・アップ』、もう1本は『バニシング IN 60”』。
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グローイング・アップ』はイスラエル製の下ネタ満載の青春映画。
まだ中学生だったりゃんひさですが、主役の高校生3人組(ベンジー、ボビー、ヒューイ)のムズムズ感は、よく判りました。
映画全編を彩る50年代オールディーズソングが心地よく、レンタルレコード店でLPレコードをレンタルして聴いていました。
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バニシング IN 60”』は全編カーアクションの映画。
とにかくガンガンと自動車がつぶれまくる映画でした。
劇場が大きく、スクリーンも大きかったので、かなりの迫力でした。
なお、この映画の初公開は『がんばれ!ベアーズ』で映画に目覚める前の1975年なのですが、のちに無料特別上映会があった際、この上六映劇で観たものです。

ということで、かなりの長尺になったので、今回はここまで。
次回は上六の残り2館と・・・さて、どこにしようかしらん。

<回想録>80年代の大阪の映画館のこと(上六・今里)(初出:2015/5/25(月))

前回最後に「次回は上六の残り2館と・・・さて、どこにしようかしらん」と書いたので、まずは上六の残り2館。

上六映劇・上六地下劇場の斜向かい三和会館の地下に2館ありました。
東宝封切の上六東宝と、日活成人映画の上六日活
残念ながら、東宝・日活とも入ったことはありません。
ですが、その後90年代にACTシネマテークというミニシアターになってからは、何度か足を運びました。

テーマを決めて、日替わりで2本立てや3本立ての特集上映をおこなっており、小津安二郎のサイレント映画を多く観ました。
現存する作品でもっとも古い『学生ロマンス 若き日』『大学は出たけれど』『落第はしたけれど』『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』などなど。
佐分利信主演のトーキー『戸田家の兄妹』『お茶漬の味』は、ここだったかなぁ。
それとも千日前弥生座だったかなぁ・・・
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三和会館のあたりには頻繁に通った古本屋が2店あり、どちらも天地書房だったような。
三和会館の南側の店の方が広く、北側の肉屋の隣の店は間口が狭かった。
どちらの店でも、主に購入していたのは店頭に無造作に並べられた安売り本。
大半は映画ノベライズか原作本。
これらのほとんどは読まないまま、東京に引っ越す際に処分しました(もったいないなぁ)。

古本屋といえば、道頓堀にあった天牛書店(のちに四ツ橋に移転)や支店のアメリカ村店が懐かしいです。
道頓堀のお店は・・・

と脱線が長くなりそうなので、このハナシは別の機会にしたいと思います。

さてさて、映画館。

千日前通りを東へ、上町台地を下っていくと下味原の交差点。
大阪環状線の高架のところを北に曲がっていくと、かつての自宅方向。
子どもの頃に通った玉造の映画館については、これまた別の機会にするとして、さらに東へ、今里ロータリーまで。

今里ロータリーから南下したあたりに映画館がありました。
今里パレス座
洋画2本立て(か3本立て)の劇場と、洋画成人映画3本立ての劇場がひとつの建屋に入っていました。

洋画2番館の今里パレス1には何度か行きました。
ナイル殺人事件』『ルパン三世』『アトランティス/7つの海底都市』の3本立て、『バイオレント・サタデー』『密殺集団』『目撃者』の地味なサスペンス映画など。

『ルパン三世』はロードショウでも観ていたのですが、豪華キャストの『ナイル殺人事件』、子ども心そそる空想冒険物の『アトランティス/7つの海底都市』のカップリングに惹かれ、道に迷いながら自転車で出かけたことが思い出されます。
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『バイオレント・サタデー』はサム・ペキンパー監督の遺作。
ルトガー・ハウアー、ジョン・ハート、デニス・ホッパーと渋いキャスティング。
でも、あまり面白くなかったなぁ。
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『密殺集団』はピーター・ハイアムズ監督のアメリカ版「必殺」って感じの映画。
マイケル・ダグラス主演ですが、ロードショウされず、地方でのスプラッシュ公開(2本立ての添え物扱い)で公開されたもの。
ピーター・ハイアムズ監督は『カプリコン・1(ワン)』以来のお気に入り監督で、こちらはそこそこ面白かったです。
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シガーニー・ウィーヴァー、ウィリアム・ハート主演の『目撃者』もスプラッシュ公開の1本。
殺人事件を報道するテレビリポーター(シガーニー・ウィーヴァー)に惚れてしまったマンション管理人(ウィリアム・ハート)が、彼女の気を惹くために殺人事件の目撃者だと偽るハナシ。
面白いんだか面白くないんだか、なんだかよく判らない感じの作品でしたが、厩舎が火事になって暴れる馬たちにふたりが囲まれるクライマックスは、意外にもよく憶えています。

80年代には、ロードショウされないスプラッシュ公開作品を2番館・3番館で見つけ出して観るのが通、みたいな雰囲気がありました。
りゃんひさも、そのひとりだったわけです。

ということで、今回もかなりの長尺。
なので、ここまで。
次回は、さらに東へ向かって、東大阪の布施・小阪あたりについて。

<回想録>80年代の大阪の映画館のこと(布施)(初出:2015/6/5(金))

前回最後に「さらに東へ向かって、布施・小阪あたりについて」と書いたので、さらに東の布施の映画館から。

ちょっと映画からは離れますが、そういえばお伊勢参りの上方落語『東の旅』に「大坂離れて早や玉造。笠を買うなら深江が名所」という件がありますが、その深江も過ぎていますので、まぁ、大阪市内からは結構遠い所ですなぁ。
その布施にも、中学生の頃には自転車で行ったり来たりしたもの。
ふーむ、若い時分があったんだなぁ、なんて感慨しきりであります。
さてさて。

今里ロータリーから東へ向かうと、近鉄布施駅の北西に出てきます。
新深江の交差点あたりから南東の方角へ向かうと、布施の歓楽街・飲み屋街に出たように覚えています。
ここいらあたりは成人映画館が多くて、入ったことがありません。

ちょっと資料を参考にすると、駅から一番離れたところに日活ロマンポルノの映画館、その向かいに洋画成人映画館があったようです。
看板なんかは見た記憶はあるのですが、たしかではありません。

その映画館群の南ひと条下ったあたりに、これまた洋画の成人映画館がありました。
名前は富士映劇(ちょっと調べました)。
ここも入ったことはないのですが、時折、一般映画が上映されており、『エマニエル夫人 成人版』とか『アンディ・ウォーホルのBAD』とか『悪魔の沼』とか『処刑軍団ザップ』とかのポスターが入り口に貼られていたのが思い出されます。
たしか、何枚かはチラシをもらったような・・・
あっ、『処刑軍団ザップ』は、ポスターを眺めただけで、チラシがゲットできず、かなり悔しい思いをしました。
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で、この富士映劇の南、近鉄電車高架の向かいにも洋画の成人映画館がありました。
こちらの名前は、有楽座
おぉぉ、東京日比谷の大劇場と同じ名前ですなぁ。
ここには、情報誌のプレゼントで招待券をゲットして、何度か入ったことがあります。
そこそこ大きな、地続き劇場で、洋画成人映画をかけているのが少々可哀そうな感じの映画館でした。

で、その有楽座から少し東、駅よりのところにあったのが布施リオン座リオン小劇場
現在、シネコン・布施ラインシネマになっているところです(シネコンになってからは入ったことはありませんが)。
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布施リオン座は東映封切館。
ですが、東映の封切映画は観たことがなく、唯一ここで観たのは、横山博人監督『』とクロード・ガニオン監督『Keiko』の2本立て。
いやぁ、渋いなぁ。
1980年のことだから、高校生に成り立てぐらいのころか。
悶々というか鬱々というか、遣る瀬無い青年期の男の物語と、同じく淡々と平平平凡凡な女性の物語。
あきらかに、背伸びして映画少年が観にいった、って感じの2本立てですね。
とはいえ、中年になったいま観ると、この2本、どうなんでしょうかねぇ。
ちょっと興味惹かれます。
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そのリオン座よりも思い出深いのは、2階にあったリオン小劇場。
ここは兎に角狭い。
60席ぐらいだったんじゃなかろうか。
以前書いた千日会館と双璧の狭さでした。

でも、B級嗜好の映画少年には魅力的なラインナップで『チェンジリング』『SFボディ・スナッチャー』『オーメン/最後の闘争』『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』など。
うぅぅ、これまた渋い。
TSUTAYAの「100人の映画通が選んだ、本当に面白い映画」に挙がってもいい作品ばかり。
(いくつかは挙がっていますが)
この映画館も畳一枚ぐらいのスクリーン、傾斜のない客席、と映画館としては、いまひとつ(いや、ふたつ、みっつ)の映画館なんだけれど、こんな映画館で出遭った映画たちは、意外と忘れていないもの。
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しかし、『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』とスタンリー・キューブリック監督の2本を、この映画館で観ているのは、我ながら、自分の映画経験はなんじゃらほい、とちょっと自虐的になってしまいます。

『シャイニング』の赤い絨毯をカメラが舐めるシーンや、『時計じかけのオレンジ』のコマ落としでチャカチャカした黒ボカシは、大画面で観たかったなぁ。
(あ、この2本の映画、この小さい劇場で観た以降、観ていないもので)

『チェンジリング』のエンドクレジットには、ヒカシューが歌う日本語の「パイプ」という歌が流れて、ホラーの余韻をぶち壊していたし・・・

って、あまりいい思い出はないことが、このリオン小劇場のいい思い出のようですね。

ということで、今回もかなりの長尺。
残念がら小阪までは行き着かず。

次回は、布施の映画館の残りと小阪の映画館について。
大阪東の映画館は、一応、次回までに終わらせたいものです。

<回想録>80年代の大阪の映画館のこと(布施・小阪)(初出:2015/6/14(日))

前回最後に「布施の映画館の残りと小阪の映画館について」と書いたので、まずは布施の残りの映画館から。
とはいえ、他はあまり行ったことがないんだよな・・・

布施駅南側の商店街のなかに3館並んでいたと記憶しています。
松竹封切の昭栄座とSY系洋画ロードショウ館の昭栄シネマ、少し離れて東宝封切りの布施東劇
(記憶があやふやだったので、調べました)
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入ったことがあるのは昭栄座、1回こっきり。
映画は、和田誠監督『怖がる人々』と大森一樹監督『シュート!』の2本立て。
(1994年の4月の番組なので、ブログタイトルの時期からは少々外れますが、ご勘弁を)
で、大阪市内でも封切っている映画を布施まで観にいったのには理由があって、4月封切りの『怖がる人々』は大阪市内では1本立て。
ですが、郊外の映画館では集客力が弱いとみて、その前にかかっていた『シュート!』を続映して2本立てにしたもの。
こういった2本立て番組は当時そこそこあって、ちょっと足を延ばしたほうがお得、ということが結構ありました。

以前書いた千日前敷島シネマの『波の数だけ抱きしめて』『あの夏、いちばん静かな海。』の2本立ても同様。

期待した『怖がる人々』はホラー&コメディのミックスがいまひとつで少々期待外れでしたが、SMAP映画とバカにしていた『シュート!』が意外と面白かった。
人気の木村拓哉は重要だけどチョイ役にして、いまひとつパッとしなかった中居正広を主役にし、それもスポーツも不得手の役どころでハナシを盛り上げていく手法は、アイドル映画としては上手い作戦。

チケット屋で安く購入したチケットの、もとは十分取った感じでした。
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さて、お次は、布施よりもっと東の小阪の映画館。
近鉄小阪駅前のメルシー街という商店街を入ったところに2館ありました(建物としてはひとつだけど)。
洋画・邦画2本立ての二番館・小阪国際劇場と、邦画成人映画3本立てのニュー小阪座
道路から段差なしで入場できる昔ながらの映画館で、千日前国際劇場や新世界国際劇場と同じ経営でした。

この映画館では(他の国際劇場でもあったのだけれど)、募金箱があって、募金するとチェーンの映画館で割引で観れるというサービスがありました。
いまでいう、会員サービスの変型みたいなものだけど、個人情報を取得されることは一切ないし、金額の多寡も問われなかった。
とはいえ100円程度は募金箱に入れたかなぁ。

ここ(小阪国際)で観たのは、黒澤明監督『影武者』と深作欣二監督『復活の日』の2本立て(他にも何度か行ったけど、忘れました)。
どちらも1980年にロードショウされたので、2本立てで観たのは翌1981年のお正月だったと記憶しています。

高校のクラブ(映研ではありません)の顧問の先生が映画館の近くに住んでいたので、新学期がはじまってから、「小阪国際で2本観ました」と話しました。
このときも自転車で行ったので、「えらく遠くまで来たものだ」ということになりました。

どちらの作品も面白かったのか、つまらなかったのか、うーむ、よく判らない。

とにかく、黒澤明作品を観たのはこれが初めてで、「黒澤明だと、やはり『七人の侍』を観なければ」と先の先生の助言もあり、その後、黒澤明作品は追いかけて『夢』以外の全作品を劇場で観ました。
なお、深作欣二については助言を受けなかったので、過去作品は追いかけず、新作が出る度に観るというスタンスになりました。

で、りゃんひさの「東の旅」もここいらで時間。
次回は、生家近くの映画館について記したいと思います。

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