『ザ・バニシング 消失』:純正サイコパス映画とはこうういうもの @ロードショウ・単館系

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ことし四月にロードショウ公開された80年代映画『ザ・バニシング 消失』、観れないかもと思っていましたが、意外にも、近くの映画館までやってきました。
1週間だけの上映なので、とにかく足を運びました。
さて、映画。

オランダから自動車でフランスに来たレックス(ジーン・ベルヴォーツ)とサスキア(ヨハンナ・テア・ステーゲ)のカップル。
道中、多少のいざこざはあったもののフランスのサービスエリアまでやって来た。
これまでの運転の労をねぎらおうとサスキアは売店に飲み物を買いに出るが、ぷっつりと行方がわからなくなってしまう・・・

というところから始まる物語で、行方不明の彼女は、フランス人男性レイモン(ベルナール・ピエール・ドナデュー)に拉致されたことが早々にわかるが、勧善懲悪からは程遠く、そんなものの彼岸に達してしまう映画である。

とにかく、スリラーサスペンス映画という枠組みの定石のようにはじまるにも関わらず、ほっとするとか、ああ良かった・・・というようなカタルシスは皆無。

評するのが難しく、恋人の行方不明になった男に共感する間もなく、その女性を拉致する犯人の描写になり、かつ、犯人の過去や拉致を成功させるためのリハーサルまで丹念に魅せられる。
ま、捕まらないようにと、念には念を入れて、という領域を超え、なんだかバランス感覚が著しく欠如しているようにもみえる。

けれど、終盤、犯人側に立ってみると、なるほどとも思う。
が、思うのは実際的にはよろしくない。

多分に、この映画、娯楽映画から無意識に純文学的映画にシフトしていると思うのだが、シフトしたあとの描写に、観客側がとまどってしまうからかもしれな。

「純文学は特別なひとが遭遇する普通の物語を描くが、わたしが書くようなエンタテインメントは、普通のひとが遭遇する特殊な物語だ」とは敬愛するスティーヴン・キングの言だが、最終的には、特別なひとに落ち着ていしまうとしても、特別でないような感じがして、すこぶる居心地が悪い映画でした。

なお、監督自らが本作をハリウッドでセルフリメイクしている(『失踪』)が、こんな絶望的な結末ではなかったと記憶しています。

評価は★★★★(4つ)です。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:27本
 外国映画27本(うちDVDなど 2本)
 日本映画 1本(うちDVDなど 0本)

旧作:2019年以前の作品:43本
 外国映画33本(うち劇場鑑賞 8本)←カウントアップ
 日本映画10本(うち劇場鑑賞 2本)
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