『バーニング 劇場版』:いくつか傑出したシーンはあるものの・・・ @名画座

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久しぶりの名画座2本立て。
新作と旧作。
ともに村上春樹原作映画。
村上春樹作品の映画化は数が少なく、さらに観ているのは、大森一樹監督『風の歌を聴け』、今回カップリングの市川準監督『トニー滝谷』、松永大司監督『ハナレイ・ベイ』ぐらい。
今回鑑賞したのはイ・チャンドン監督『バーニング 劇場版』。
先に90分に短縮編集したテレビ版が放映されていたようだが、未見。
原作は初期短編『納屋を焼く』。
さて、映画。

アルバイトしながら小説家を目指している青年イ・ジョンス(ユ・アイン)。
とはいえ、まだ一篇も書き上げていない。
それどころか、何を書けばよいのかがわからない。
そんなある日、街でキャンペーンガールをしている幼馴染のシン・ヘミ(チョン・ジョンソ)と偶然の再会を果たす。
アフリカで「リトルハンガー(空腹な者)」と「グレートハンガー(人生に飢えた者)」の違いをみてみたいと言っていた彼女は、その言葉どおりアフリカへ旅立ち、帰路足止めを食ったナイロビ空港で巡り逢ったベン(スティーヴン・ユァン)とともに帰国する。
ベンは、ジョンスともヘミとも異なり、若くしてすべてを手に入れたような青年で、ジョンスの田舎の家の庭で三人で飲んでいる際に、「ぼくは何か月か毎にビニールハウスを焼いているんだ」とジョンスに告げる・・・

というところから始まる物語で、ここいらあたりが映画の中盤。
この映画の最も美しいシーンが、このジョンスの田舎の家の庭のシーンで、大麻で高揚したヘミが沈む夕陽を背景に、着ているものを脱ぎ捨てて踊るのをワンカットで撮っている。
その間に陽は沈む・・・

で、その後、ヘミが姿を消し、消えた彼女を巡ってのミステリー的サスペンスとなるのだけれど、おもしろいのかおもしろくないのかよくわからない。

ストーリー的にも、ヘミの消息についてはいくつかの解釈ができるのだけれど、その解釈は観客に委ねられている。
委ねられていながら、衝撃的な結末を迎えるので、すごいショック。
それもワンカットの力技。

だけれど、イ・チャンドン監督の語り口って、こんな風だったかしらん。
もっとはじめからグググと力で押して押して押し出し的だったような感じがしていたが、今回は終盤にかけてだけ。

「リトルハンガー」と「グレートハンガー」や、「ビニールハウスを焼く」「井戸に落ちる」「踊る」などいくつものメタファーが出てくるが、劇中で「メタファー」と言ってしまうあたり(それぞれのことを指しているのではないが)、この手のメタファー満載映画ではちょっと・・・と思ってしまった。
その他、ジョンスとベンのふたりの役どころ、田舎の鼠と都会の鼠を地でいく配役なのもツマラナイ。

いくつか傑出したシーンはあるものの、全体をしてはあまり買えない、といったところ。
もう30分短くてもいい。

評価は★★★☆(3つ半)です。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:30本
 外国映画29本(うちDVDなど 3本)←カウントアップ
 日本映画 1本(うちDVDなど 0本)

旧作:2019年以前の作品:44本
 外国映画34本(うち劇場鑑賞 8本)
 日本映画10本(うち劇場鑑賞 2本)
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