『自由の幻想』:ホントの自由なら、こんな感じ? @企画上映

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ルイス・ブニュエル監督の1974年作品『自由の幻想』、企画上映で鑑賞しました。
鑑賞録をみると、1985年のリバイバル時にも観ていましたが、ほとんど内容は覚えていませんでした。
さて、映画。

時は19世紀、ナポレオン占領下のスペイン。
抵抗するスペイン人たちが銃殺されるが、彼らは死の直前に「自由くたばれ!」と叫んでいる・・・

というところから始まる輪舞形式の映画。
前のエピソードで登場していた人物のひとりが、次のエピソードへの繋ぎとなる。

とにかく、取っ散らかったようなハナシのオンパレード。

現代のパリ。
少女が公園で見知らぬ紳士より受け取った世にも卑猥な絵葉書は、エッフェル塔や凱旋門などの風景写真。
少女から、絵葉書を得た両親は次第に昂奮していく・・・
「動物が寝室に入り込んできて、夜眠れない」という夫は、医者に行くが、医者は「ま、それは、なんだ、癌だな」なんて言い、精密検査の日取りを決めるが、話は変わって、そこに勤めている看護婦のハナシ・・・

と展開するので、ひとつのエピソードは完結しない。

完結する必要なんてないんじゃない? それも自由さ、なんてブニュエル監督も共同脚本のジャン=クロード・カリエールは言っているよう。

傑作なのは、ジャン・ロシュフォール扮する父親の幼い娘が消え去ってしまうハナシ。
小学校から「お宅の娘さんの姿が見えません」と連絡を受けた両親が学校に行くと、娘は居る。
けれども、みんな、「いないいない」と大騒ぎするハナシ。
娘が「ここに居るよ」といっても、「それはわかってます。ちょっと黙ってて」なんて。
警察へ届け、調書を娘本人から聞く署長とか、あまりにヘンテコリン。

そういえば、かつて桂枝雀師匠が笑いを「緊張の緩和」と定義し、落語のオチを4つに分類したが、この映画のエピソードはすべて「ヘン」(他の3つは「あわせ」「ドンデン」「なぞとき」)。
それも、オチにならないほどのヘンテコリンさ。
脱線ついでに、一時期、枝雀師匠が「ヘン」のオチにこだわって、自ら短い「ヘン」な噺をつくって、SR(ショート・ラクゴ)と名付けて、勉強会で演じていたことがあり、笑っていいのかどうか、とにかく理解に苦しむ、微妙な雰囲気になったことがありました。
そういう意味では、この映画に通じるところがあるかもしれません。

さて、映画の最後の最後、もう一度、「自由くたばれ!」の声が聞こえるのだが、これはもしかしたら、「なぞとき」的オチかもしれない。

「自由くたばれ!」という自由があってもいいんじゃないか。
だからといって、束縛したり、迫害したりして、他人の自由を脅かしていいというわけではなく、あくまでも他人の自由を尊重したうえでの「自由くたばれ」という自由。

ま、そんなところかしらん。

評価は★★★★(4つ)です。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:44本
 外国映画39本(うちDVDなど 4本)
 日本映画 5本(うちDVDなど 0本)

旧作:2019年以前の作品:55本
 外国映画42本(うち劇場鑑賞10本)←カウントアップ
 日本映画13本(うち劇場鑑賞 3本)
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