『マイ・ブックショップ』:実にいやらしい英国の階級差 @DVD・レンタル

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今春ロードショウされた『マイ・ブックショップ』、DVDで鑑賞しました。
監督は『死ぬまでにしたい10のこと』『しあわせへのまわり道』のイザベル・コイシェ
2005年の『あなたになら言える秘密のこと』が東京国際映画祭のカネボウ女性映画週間で上映されたときに登壇されたのを見ています。
さて、映画。

1959年の英国、小さな海辺の町。
戦争未亡人のフローレンス(エミリー・モーティマー)は、亡夫との夢であった本屋開業のために、町に残された古家を購入する。
その名もオールドハウス。
しかしそのオールドハウスは、地元の有力者ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)が芸術センターを開設するのに狙っていた物件。
あまりの古さに誰も買い手はいないだろうと高を括っていたものだった・・・

といったところから始まる物語で、簡潔に言えば、英国の階級差がいやらしい形で描かれた映画。

原作はブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドによるというが、とにかくガマート夫人のやり口が陰険でねちっこい。
搦め手、外堀からねちねちと行う嫌がらせ。
いやはや、なんというか英国的。

それに敢然と立ち向かうフローレンス。
そんな中、町外れの古い邸で40年近くも隠遁生活を行っている旧家の老紳士ブランディッシュ(ビル・ナイ)が現れる。
彼は読書好きで、フローレンスが推薦するレイ・ブラッドベリの小説を気に入り、フローレンスに味方するようになる・・・

ということで、この紳士に助けられて、フローレンスが一矢を報いる・・・というような形になれば、さぞや留飲も下がるのだけれど、そんなことにはならない。

負け戦・・・そういうに相応しい結末で、日本人観客には「ええええええ」だ。
だが、たぶんに英国ではこのような負け戦の主人公に共感を覚えるのだろう。
下々の階級の者は、決して上の階級の者に勝つなんてないから。

しかしながら、鼬の最後っ屁的な一発がある。
フローレンスの本屋の手伝いに来ていた少女(オナー・ニーフシー)が、最後の最後に強烈な一発を食らわせる。
そういえば、『ねじれた家』でも彼女、同じような強烈さだったが。

映画のフィクションの中だけでも下の階級の者が勝利してほしいが、そんな嘘っぱちより、こちらの方が快哉をあげれるのだろうね、英国では。

イザベル・コイシェ監督の諸作や『ジュリエッタ』『屋根裏部屋のマリアたち』のジャン=クロード・ラリューによるカメラがいい。
ナレーションはジュリー・クリスティ がアンクレジットで担当しているが、誰の役どころかは最後にわかる。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:86本
 外国映画66本(うちDVDなど13本)←カウントアップ
 日本映画20本(うちDVDなど 5本)

旧作:2019年以前の作品:78本
 外国映画53本(うち劇場鑑賞14本)
 日本映画25本(うち劇場鑑賞10本)
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この記事へのコメント

2019年10月31日 22:54
今作も劇場観賞しましたが、ラストの衝撃がものすごかったです。
もっとホンワカした作品かと思いきや、こんな強烈な復讐?というか、仕返しになっちゃうの~?!って。
もはや犯罪レベルで、あそこまで過激なことになると、ただただ唖然。
あらゆる予想を裏切ってくれた、衝撃作でした。
りゃんひさ
2019年10月31日 22:59
トリトンさん

たしかに、ホンワカした作品かと思っていました。
にしても、あそこまでやらないと英国的には意趣返しにならないということなのね。
英国恐ろべしい。
じゃむとまるこ
2019年11月15日 21:51
景色がとても美しく、衣装やブックショップの造形が魅力的でした。
終盤への布石の置き方が残念かな、という気がしました。
こういう階級社会は日本人には本当のところ理解できないところがあるように思います。
りゃんひさ
2019年11月15日 22:56
じゃむとまるこさん

こういう階級社会、やはりなかなか日本人にはわからないところですが、映画で観ると端々に感じるところもありますね。