『シャイニング』:キューブリックが「シャイニング」を映画化した理由(ちょっとした考察) @DVD・レンタル

シャイニング.jpg

1980年のスタンリー・キューブリック監督作品『シャイニング』、DVDで鑑賞しました。
まもなく続編の『ドクター・スリープ』が公開されるので、その予習も兼ねての復習鑑賞です。
原作も2回読み、映画はこれで3回目。
とはいえ、鑑賞するのは38年ぶりなので、細部は結構忘れています。
さて、映画。

米国コロラドの山中にそびえるオーヴァールック・ホテル。
冬の5か月間は雪のために閉鎖される。
極寒の環境からホテルを保全するための管理人と雇われたのは売れない小説家のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)。
妻ウエンディ(シェリー・デュヴァル)と息子ダニー(ダニー・ロイド)の3人のみでの住み込み作業だったが・・・

といったところからはじまる物語で、先住民たちの墓地の上に建てられたホテルには悪霊が棲みついており、ジャックはいつしか悪霊たちに取り込まれ、狂気に蝕まれていく・・・

そのストーリーは至ってシンプル。
殺人事件は、中盤、いや後半になるまで起こらない。

雪で閉ざされた、壮大ともいえる大きなホテルの中での親子3人。
圧倒的な広さ、けれど閉ざされた空間。
その中でジャックを蝕んでゆく狂気・・・
これをスタンリー・キューブリック監督は、ジョン・オルコットによる流麗なカメラと、フラッシュバックを活かしたレイ・ラヴジョイによる編集で魅せていきます。

タイトルの「シャイニング」はダニーが持っている超能力で、過去の情景を見、会話せずに他者の気持ちを読むことが出来るというもの。

この設定、ストーリー展開上、特に活かされているとは言い難く、遠くマイアミに引っ越した、同じ能力を持つ黒人コックのハロラン(スキャットマン・クローザース)に危機を伝えることしか役立っていない。
また、助けに駆けつけたハロランはあっさりと殺されてしまう。

昔観た際には、このダニーの超能力があまり「ストーリーに」活かされていないことに不満を感じていたが、今回観直してみて、「演出には」かなり活かされていることがわかる。
過去のおぞましい事件の情景を描くのに回想シーンが不要、さらに狂気に満たされウエンディを襲うジャックの様子と「離れた場所で」おびえるダニーのカットバックを効果的にするのに大いに役立っている。
ダニー=観客、という視点にすることが出来、説明的なストーリーや演出が不要になってくる。

と考えると、『シャイニング』という小説をキューブリックが映画化しようと思い立ったのは、こういった演出を「説明なしで」できるからではなかったか。

つまり、ストーリー的には興味がないので、あっさり後半を改変、ホテルの因縁話もくだくだしくすることをやめているのも、この演出を優先させるためで、キングが激怒したのも頷ける・・・などと穿った観方もできるかも。

ステディカムで三輪車を漕ぐダニーの後ろ姿を追う長い長いシーンと、いろいろなスタイルで書き連ねられた「仕事ばかりで遊びがないと、ジャックはダメな少年になる」の原稿のシーンは、やはり特筆すべきところ。
(あの原稿、そのまま本にしても売れるかもしれないが)

ただし、ジャック・ニコルソンがはじめからイカレた男にみえるのと、ショッキングシーンになると『サイコ』ばりの耳障りな高音が響くのは、マイナスでしょう。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:100本
 外国映画74本(うちDVDなど16本)
 日本映画26本(うちDVDなど 8本)

旧作:2019年以前の作品:79本
 外国映画54本(うち劇場鑑賞14本)←カウントアップ
 日本映画25本(うち劇場鑑賞10本)
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この記事へのコメント

2019年11月25日 17:38
ホラーは見ないので、今作も見てないし、続編の「ドクター・スリープ」もスルー予定ですが。
あまりに有名な作品、ちょっとチャレンジしてみようかな、とは思います。
りゃんひさ
2019年11月25日 20:09
トリトンさん

『シャイニング』は名作の誉れ高い映画ですが、あまり怖くないことでも知られています。ホラー嫌いには向いているかもしれません。