『ドクター・スリープ』:キング節を持ち込んでの映画『シャイニング』の続編 @ロードショウ・シネコン

ドクター・スリープ.jpg

スティーヴン・キング原作の映画化『ドクター・スリープ』、ロードショウで鑑賞しました。
『シャイニング』の40年後・・・という謳い文句だが、この映画、位置付けが難しい。
その理由は後で書くとして、さて、映画。

1980年の米国コロラド山中にそびえるオーヴァールック・ホテルで起こった惨劇。
生き残った少年ダニーは、母親とともにフロリダで暮らしていた。
黒人ディック・ハロラン(カール・ランブリー)の霊から、「あのホテルのものどものことは頭の箱の中に入れて封印しておけばいい」と助言を受けていた。
それから40年・・・
中年になったダニー(ユアン・マクレガー)はアルコール依存症に苦しみ、また、時折現れる「シャイニング(特殊能力)」がみせる光景にも苦しんでいた・・・

といったところからはじまる物語で、映画『シャイニング』の40年後という設定を活かしている。

映画の続編として成立させ、かつ、小説『ドクター・スリープ』の映画化として成立させるのは、かなり困難、至難の業。
小説『ドクター・スリープ』は未読だが、『シャイニング』の方は小説も映画も幾度か読み、観ている。

『シャイニング』は、小説ではオーヴァールック・ホテルは壊滅しているが、映画版では残ったまま、そこに棲んでいる亡霊たちも遺されたまま。
この違いをどう吸収するのか。
そして、映画版ではあまり描かれなかったダニーの特殊能力「シャイニング」が、どれほどのものなのか、ということにも興味がわきます。

それを、今回の映画『ドクター・スリープ』ではそこいらあたりを充分満足できるところにまで持ってきている。
監督・脚本・編集をこなしたマイク・フラナガンが、小説も映画版も大いに敬愛していることの証だろう。
映画版と同じ構図や編集を挿入し、さらに映画版になかったスペクタクルシーンまで混ぜていますから。

さて、映画『ドクター・スリープ』では、少年少女連続失踪事件の背後に、スーパーナチュラルな集団が居、それを大いなる「シャイニング」を持つ黒人少女アブラ(カイリー・カラン)が察知し、どうにかして阻止したいという、正邪の対決の物語がメインストリーム。
黒人少女アブラを助ける役回りで、中年になったダニーが絡んでくるわけだが、「Ka(運命)」はふたりの関係を、幼いダニーとハロランとの関係をなぞろうとする・・・
また、スーパーナチュラルな集団は、人間の精気(生命の源)を食らい、永年生き続けている人種で、「シャイニング」を持つ人間の精気の効力が最も強い・・・という設定になっており、欧米の吸血鬼物語に通ずるところがあり、同じキング作品『セイラムズ・ロット(呪われた町)』を思い出せる。

で、このキング節ともいえる本質的なチープでベタな設定は映画にすると、本当にチープで安っぽくなってしまうことが多く、そこいらあたりが映画化の際の超難関なのだが、本作ではうまくいっているように思いました。
特に、首魁ローズ・ザ・ハットを演じるレベッカ・ファーガソンが魅力たっぷりなのです。
が、ここいらは映画版『シャイニング』を評価しているひとにとっては、???な感じかもしれません。

ということで、スタンリー・キューブリック監督があえて割愛したキング節を持ち込んでの映画『シャイニング』の続編、かなり成功の部類だと感じました。
面白かったです。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

------------------
2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:104本
 外国映画78本(うちDVDなど18本)←カウントアップ
 日本映画27本(うちDVDなど 9本)

旧作:2019年以前の作品:79本
 外国映画54本(うち劇場鑑賞14本)
 日本映画25本(うち劇場鑑賞10本)
------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

じゃむとまるこ
2019年12月01日 10:25
こんにちは。
この映画は随分と評価が低くて、キューブリック映画の続編として観るとダメなようですね~。
このところあわただしい日常が続いていて、先月は映画4本しか鑑賞できませんでした、今月もどうなりますか。
直近レビューされた中東の映画は鑑賞予定最優先なのですが・・
りゃんひさ
2019年12月01日 13:56
じゃむとまるこさん

キューブリックの『シャイニング』の続編だと思うとダメな映画と感じるでしょうが、キングの小説の映画化だと思うと成功と感じるでしょう。
なお『テルアビブ・オン・ファイア』は是非ともご覧くださいませ。