『夜明け告げるルーのうた』: 湯浅政明監督のアニメ魂 @DVD・レンタル

夜明け告げるルーのうた.jpg

新海誠作品に続いて鑑賞したのは湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』、2017製作の作品です。
鬼才と冠されることもある同監督の作品を観るのは、これがはじめて。
さて、映画。

人魚の言い伝えが残る寂れた漁港の町、日無町。
海岸際には舟屋が立ち並んでいる。
海に突き出した御陰岩という岬によって、内海は穏やかで、漁は内海で行われているが、御陰岩のせいで日光が差す時間は短い。

離婚した父に連れられ、東京から引っ越して父の実家で祖父と三人暮らしの中学生カイ。
鬱屈した毎日の中、唯一の楽しみは、自作の曲を打ち込みでつくり、ネットにアップすることだったが、ある日、同級生に動画が見つかり、バンド仲間に引き入れられてしまう。
三人組でのスタートの日、孤島・人魚島の遊園地跡でいやいや練習をしていると、小さな女の子に似た人魚が飛び出し、音楽にあわせて踊り始めた・・・

といったところから始まる物語で、否が応でも宮崎駿監督『崖の上のポニョ』を思い出させる設定。
ただし、主人公の年齢は中学生なので、先に観た新海誠作品に近いようにも感じました。

とにかく絵が動く。
画で魅せる、絵の動きで魅せるのがアニメーションだと常日頃から思っているので、この作品のような戯画化(カリカチュア)され、誇張(デフォルメ)された構図や動きは、たまらなく好き。

極端に奥行きを強調したアングルや、登場人物の身体の一部が極端に大きく描かれたり、歪めて描かれているのはインパクトがある。
そんな人物が、突然踊り出すビート感の高揚。
挿入される過去シーンは、エッジ(輪郭線)がないという工夫も。

それでいながら、背景などはリアリティがある。
舟屋が立ち並んだ集落のモデルは、伊根の舟屋らしく(エンドクレジットに登場する)、写真など観るものとほとんど同じ。
ちなみに、伊根の舟屋は、昨年あたりから外国人観光客に人気が急上昇しており、もしかすると、この映画の影響かもしれない。

女の子の人魚・ルーが「ポニョ」を思い出さるならば、ルーの父親はさながら「パパンダ」。
牙をむきだしてニッと笑う様子や、人間離れした(鱶なんだから当然なのだが)巨体は、パパンダそっくり。

クライマックス、日無町が水に沈んでいくさまは、荒れ狂う海が押し寄せるのではなく、静かに静かに水が押し寄せてくる。
津波のトラウマを避けるためでもあろうか、幻想的な雰囲気が出、そこで人魚やワン魚たちが住民たちを救うという展開になるのも興味深い。

近年のアニメの中では傑作の部類ではありますまいか。
本作の直前作『夜は短し歩けよ乙女』、昨年公開の『きみと、波にのれたら』も観てみたいと思います。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 8本
 外国映画 5本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 3本(うちDVDなど 0本)

旧作:2020年以前の作品: 6本
 外国映画 2本(うち劇場鑑賞 1本)
 日本映画 4本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2020年03月03日 16:55
いや~、この作品、傑作ではあるますまいか!
宮崎アニメを彷彿させる物語性と躍動感、久々に味わいました。
「歩けよ乙女」も妙な話で、それはそれで面白かったのですが、こっちの方がはるかにいいです。
でも「歩けよ乙女」は色彩描写が優れていたと思いますよ。
りゃんひさ
2020年03月03日 23:02
ぷ~太郎さん

この作品は傑作でしょう!