『his』:丁寧な演出に惹かれる秀作 @DVD

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ことし1月にロードショウされた『his』、DVDで鑑賞しました。
監督は『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』の今泉力哉
さて、映画。

岐阜県の田舎の村でひっそりと一人で暮らしている迅(宮沢氷魚)。
田舎へ来た理由は、ゲイであることを知られるのを恐れてのことだった。
ようやく田舎暮らしも馴染んできたころ、8年前に彼のもとを突然去った渚(藤原季節)が、6歳の娘・空を連れてやって来る。
迅、渚、空という3人の共同生活が始まるが、渚は現在、妻と離婚協議中・・・

といったハナシで、実際にこんなことが日本でもありうるのだろうかと思うが、そんなことを感じさせない今泉監督の丁寧な演出ぶり。

丁寧な演出に尽きる。

日本の田舎のことなのだから、余所者への偏見は厳しいだろうし、それがましてやゲイというマイノリティなのだから、風当たりは強いだろうが、「昔から他所からやって来る人間は多かった」という簡潔な一言を、老猟師に語らせることだけで、観ている方が納得できるのも、そこへ至るまでの細やかな演出の積み重ねだろう。
その後の、迅のカミングアウトのシーンも、唐突感がないように演出されている。
場を件の猟師の葬式の場とし、猟師の死をくだくだしく描かずに省略することで、逆に唐突感をなくしている。

終盤は、渚と妻(松本若菜)との間での、娘の養育権を巡っての裁判劇となるのだが、裁判の勝ち負けを焦点にせず、迅、渚、渚の妻、それに娘を加えて、誰が誰をどのように見て感じているか、そして、そう感じることが自身にとってどういうことなのかを描いていくあたりは、米国映画の離婚劇映画とは趣の異なるところ。
ただし、妻側の弁護士は、かなりステレオタイプとして描かれているので、少々鼻白む感もありますが。

『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』で凄いなと感じた今泉力哉監督。
今後も見逃せない監督のひとりでしょうね。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 60本
 外国映画47本(うちDVDなど17本)
 日本映画13本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ

旧作:2020年以前の作品: 67本
 外国映画43本(うち劇場鑑賞 4本)
 日本映画24本(うち劇場鑑賞 2本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2020年08月21日 15:50
この監督、私も注目しています。登場人物の心情に沿った演出で無理なくすっと作品にはいっていけます。
「愛がなんだ」でも、単にうっとうしい女性となりがちなところを、上手い演出で飽きなく違和感なく仕上げているのはさすが。
この作品でもその手腕は発揮されていますね。どちらかというと、普通の人物ではなく、独特な人物を描いたほうがこの監督らしさが表れていいと思います。
2020年08月21日 18:41
これ、めっちゃ良かったー!
腐女子の私にも、刺さりまくった素晴らしい傑作。(笑)
同性愛の純愛だけに留まらず、さらにどう社会と向き合い生きていくか、に焦点を当てた斬新な作品だった。
演出もすごく丁寧で、それぞれの繊細な心情がうまく描けていました。
今作で、宮沢氷魚のファンになりましたわ。かっこよかった~!
りゃんひさ
2020年08月21日 22:27
>ぷ~太郎さん

マジョリティよりもマイノリティを描くのが上手い監督かもしれませんね。
りゃんひさ
2020年08月21日 22:28
>トリトンさん

宮沢氷魚、THE BOOMの宮沢和史の息子さんなのを最近知りました。