『海辺の映画館 キネマの玉手箱』:映画館の暗闇の中でなにを視るのか @ロードショウ

海辺の映画館.jpg

コロナ禍で公開が遅れていた大林宣彦監督の遺作『海辺の映画館 キネマの玉手箱』、ロードショウで鑑賞しました。
自宅での鑑賞が続いていたので、多くの作品は、わざわざ映画館で見なくてもいいのではないかしらん、と思うようになってきた今日この頃ですが、さすがにこの作品を見逃すわけにはまいりません。
ということで、さて、映画。

尾道唯一の映画館、それは海辺にある古いコヤの「瀬戸内キネマ」。
ピカと稲妻が光り、ドンと雷鳴轟く嵐の中、最終日を迎えることになった。
最後の上映プログラムは「日本の戦争」映画大特集オールナイト上映。
映画を観ていた3人の若者、突然スクリーンの世界にスリップイン!
そこでみた「映画の真実」「日本の戦争の真実」とは・・・

といったハナシだけれど、オープニングから面食らう観客が続出するかもしれない。
先に書いたあらすじに入る前に、監督の分身ような(でもそうでないような)高橋幸宏「爺・ファンタ」が宇宙船に乗って登場し、何が始まるのか、もうてんで予想がつかない。

大林監督の妄想の大爆発なのだが、今回ばかりは妄想ではなかった。

映し出される映像は、おもちゃ箱をひっくり返しても、こうはいかないと思うぐらいのカラフルさ。
で、かつ、(一見)脈絡のなさ。

けれども、「日本の戦争の真実」が描かれている。
戦争といえば、太平洋戦争・・・というのではなく、幕末の戊辰戦争から描かれており、「日本の戦争」がそこから始まったと監督がみていることがよくわかる。
勝ったのは官軍、薩長とはいうもの、実は長州のひとり勝ち。
太平洋戦争で米国に日本は負けたけれど、長州のひとり勝ちは変わっていないんじゃないの、それはいまも続いているのじゃ何か知らんと訝っている。

映画は、時代も物語も登場人物もなにもかも縦横無尽に行き来する。

かつて、大林監督が言っていたことで印象的な事があります。

「映画というものは、止まっている画を動いているようにみせるものなんだけれども、画が写っているのと同じ時間だけ、画と画の間で閉じているシャッターの暗闇を観ているんです。暗闇の間は何も見ていないのではなく、実は、暗闇の中で自分自身を視ているんです」

暗闇の中で視る自分自身、自分自身の心・・・
一見、騒々しく取り留めのない煌びやかな画の連続だけれども、暗闇の中で自分自身と相対する・・・

大林監督、ありがとう!

でも、ひとつだけ文句を付けると、「ハッピーエンド」ではなく、「to be continued... and be happy」がいいと思うんですけど。

評価は★★★★★(5つ)としておきます。

<追記>
なお、後半登場する沖縄のエピソードでは涙が止まりませんでした。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 51本
 外国映画41本(うちDVDなど12本)
 日本映画10本(うちDVDなど 0本)←カウントアップ

旧作:2020年以前の作品: 63本
 外国映画39本(うち劇場鑑賞 4本)
 日本映画24本(うち劇場鑑賞 2本)
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この記事へのコメント

じゃむとまるこ
2020年08月09日 21:30
これを言わずに死ねるものか、というものを感じました。
コロナで上映が延期になっていたようですが、上映は”今”ですよね~。
りゃんひさ
2020年08月10日 00:12
>じゃむとまるこさん

まさに大林宣彦監督の「言わずに死ねるか」でしたね。やはり、「観るなら今」です。