『赤い雪 Red Snow』:三途の川を渡る被害者遺族と加害者遺族 @DVD

赤い雪.jpg

昨年2019年2月公開の日本映画『赤い雪 Red Snow』、DVDで鑑賞しました。
2019年・・・と書くと、なんだか遠いむかしのような気がします。
コロナカの前と後、そんな感じですね。
さて、映画。

雪深い田舎町のこと。
ある雪の日、一人の幼い男児が姿を消してしまった。
最後の目撃者は男児の兄。
ただ、男児の兄の記憶はすこぶるあいまいで、事件はその後、一家に深い傷跡を残す。
あれから30年。
長じた兄・一希(永瀬正敏)は漆職人となって、ひっそりと暮らしていた。
そこへルポライターを木立という男(井浦新)が訪ねて来、当時、最重要容疑者と目された女性の娘・早百合(菜葉菜)が見つかったと告げる・・・

といったところからはじまる物語で、あらすじだけを辿れば、二時間サスペンスのような物語。

なので、この映画を二時間サスペンスのようなノリで観てしまうと、手痛い目に会うことは必定。
終盤でわかりやい謎解き、いわゆる解決編といったパートはなく、そのようなカタルシスをこの映画は提供してくれない。

であるならば、この映画の面白さは?

困ったことに「わからないこと」なのだろう。

事件の顛末はわかるのだけれど、「なるほど!」というようには語ってくれない。

先に書いてしまうと、事件の顛末は、このようなもの。

男児行方不明の事件は、連続保険金殺人事件のオマケのようなもの。

犯人と目された女性(夏川結衣)は、やはり犯人で、保険金目当てで結婚した相手を、都合三人殺していた。
実際に手を染めたのは彼女なのか、それともヒモ的存在の男・宅間(佐藤浩市)なのかはわからない。
犯人の女性には、男児を可愛がる癖があり(女性は女児しかもうけていない)、そもそも彼女に可愛がられていたのは殺された男児の兄・一希だった。
が、女性のもとへ弟を連れて行ったせいで、事件に巻き込まれてしまう。

三人殺しも含めて、いずれの事件も目撃していた幼い早百合は、それらの記憶を意図的に封印し、その後も宅間の庇護のもとで暮らしている。
そして、木立と名乗ってルポライターとして現れた男は、殺された三人のうちのひとりの遺児であった・・・

というもの。

このような事件の、被害者遺族の一希と加害者遺族の早百合がそれぞれ過去を封印して生きてきたにもかかわらず、出逢ってしまうことで、何が起こるのか?
それが主題。

封印してきた、いずれもの記憶がよみがえったからといって、大団円は迎えることはない。
真相が判明したからといって、めだたしめでたし、となるわけではない・・・

そういう映画で、映画は唐突にふたりの道行きで終わる。

ラストに描かれる一希と早百合が乗る小船のシーンは、三途の川への渡し船であり、真相を知ってしまった(憶い出してしまった)ふたりの、もうこれ以上生きていけない・・・という思いのシーンであろう。

全体的にまだるっこしく展開しているのに、最終的には唐突に観念的な映像で表現されており、いくつか説明的なショット(長い必要はない)が抜けているために、わかりづらくなってしまっている。

映像に力もあり、興味深いところも多々あるのだけれど、秀作・傑作になり損ねた感のある映画でした。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 97本
 外国映画72本(うちDVDなど30本)
 日本映画25本(うちDVDなど 5本)

旧作:2020年以前の作品: 93本
 外国映画62本(うち劇場鑑賞10本)
 日本映画31本(うち劇場鑑賞 5本)←カウントアップ
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2021年01月02日 01:13
私は面白く観ました。よそ者の派手な女に興味をもつのはあの年ごろの男子にはよくあること。最初は可愛がられて戸惑いながらも嬉しかったのではないかな。でも弟を連れて行ったら、弟の方が可愛がられてしまった。家でも母親は弟の方を可愛がっている。弟への嫉妬と憎しみで、行方を知らないと嘘をついた兄。それがとんでもない方へと広がってしまって、もうどうしようもなくなり、沈黙のうちに生きるしか術がない兄は罪を背負って死んだように生きてきたのでしょう。
同じく虐待され生まれてきた意味を見出せない容疑者の娘も、死んでいるのと同じようにただ生きてきた。そんな二人が出会ったら、結局あのラスト以外にはないのでしょうね。重く暗い作品でした。
りゃんひさ
2021年01月02日 14:15
>ぷ~太郎さん

頂いたコメントのとおりだと思います。