『フィラデルフィア物語』:1940年の米国観客になって観たいもんだね @DVD

フィラデルフィア物語オリジナル版.jpg

2021年最初の映画鑑賞はDVDで。
映画は、1940年製作の『フィラデルフィア物語』。
渋谷の名画座で特集上映されているソフィスティケーション映画の中の1本でもあります。
ま、初笑い、といったところですね。
さて、映画。

フィラデルフィアの上流社会。
ロード家の令嬢トレイシー(キャサリン・ヘプバーン)は、同じ上流階級のC・K・デクスター・ヘイヴン(ケイリー・グラント)と結婚したが、彼女のプライドの高さに辟易した彼は酒が手放せず、それを見かねたトレイシーはすぐに離婚。
それから2年。
トレイシーは、一般市民階級のジョージ(ジョン・ハワード)と婚約。
別れてもなおトレイシーを密かに愛しているデクスターは破断に持ち込もうと、記者のコナー(ジェームズ・スチュワート)と女性カメラマンのインブリー(ルース・ハッセイ)を連れて、結婚式間近に乗り込んでくる・・・

といったところから始まる物語で、作家志望のコナーがトレイシーにひとめ惚れして、事態はややこしくなる・・・と展開しまします。

冒頭から矢継ぎ早のマシンガン台詞の応酬で、字幕ではすべてを訳し切れていないかもしれません。
その上、登場人物が多くごたごたしているので、この手の映画を観なれていないとちょっとついていけないかもしれません。
(とはいえ、名匠ジョージ・キューカーは巧みに交通整理をしていますが)

映画の見どころは、
蝶よ花よと育てられた名家の令嬢は、常に、手の届かない存在として崇められているが、それはそれ、やはり女性のなのだから、普通に愛されたい、ひとりの女としてみて欲しい、と思っている。
そんなトレイシーのことを知ってか知らずか、コナーがトレイシーにそれらしいことを言ったがために、彼女の心の箍が少し揺らいでしまい、それが、結婚式前夜のパーティでの深酒に繋がってのベロベロ酔い。
ああ、ひとりの女性として愛されたい・・・とコナーといい雰囲気に。

そんな女性心理を、1940年に描いたところ。
この手のテーマは、現代でもありじゃないかしらん。

そして、そんな女心を抱くのが、上流階級の令嬢なので、上流階級といったって、要は下賤なみんな(つまり当時の観客)と変わらないよね、あはははは、と笑い飛ばすところなわけ。

で、終盤になると、それが艶笑喜劇味を帯びてきて、

トレイシーを抱きかかえてプールから出てきたコナーを、デクスターとジョージが発見、
ふたりはその後、部屋へと消えてしまい・・・
デクスターとジョージは、プールでなにやらコトがあったのでは、と邪推。
さらに、翌日、正気に返ったトレイシーは、コナーとコトがあったのではと不安になるが、コナーにあっさり否定される段になると「女性としての魅力はないのか!?」と怒る始末。

このあたりは戦前ということを考えれば、かなりキワドイ展開で、ほとんどエロコメディともいえる。
(お色気風味は前半にもあり、キャサリン・ヘプバーンは背中の大きく開いた水着を着たり、扉越しとはいえ着替えのシーンも演じている)

こういうお色気風味を下品のならないのを「ソフィスティケーション」というのでしょうね。

最終的にはトレイシーとデクスターが元の鞘に収まるという結末だけれど、そこへ至るまでの展開は書かないでおきます。

キャサリン・ヘプバーン、ケイリー・グラント、ジェームズ・スチュワートのコンビネーション(コムビと書くと雰囲気が出ます)はやはり素晴らしく、スチュワートの酔っ払い演技に目が行くかもしれないけれど、常にダンディ顔で決め込んでいるグラントも可笑しい(というか、黙っていると怖いぐらいで、それが可笑しいのだけれど)。

スチュワートがヘプバーンを抱きかかえてプールからやってくるときに歌う鼻歌は「オーヴァー・ザ・レインボウ」。
同じ製作会社のMGMが前年の1939年に製作した大ヒット作『オズの魔法使』の主題歌なので、ちょっとした楽屋落ち。

とまぁ、こちらも、1940年の米国観客に連れ戻ってくれているみたいな気分にさせてくれる映画でした。

なお、後年、同じくMGMで『上流社会』としてミュージカル映画でリメイクされていますが、主役三人はコチラの方がいいでしょう。

評価は★★★★(4つ)としておきます。
フィラデルフィア物語.jpg

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品: 0本
 外国映画 0本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 0本(うちDVDなど 0本)

旧作:2021年以前の作品: 93本
 外国映画 1本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
 日本映画 0本(うち劇場鑑賞 0本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2021年01月10日 16:34
いやいやいや、「上流社会」よりこちらの方が配役は数段いいでしょう!改めてキャサリン・ヘップバーンはうまいな~と言わざるをえませんね。シリアス物は勿論、コメディもOK。うまくないとコメディって演じられないんですよね。
りゃんひさ
2021年01月10日 23:21
>ぷ~太郎さん

そうです、平凡な役者にコメディは無理なんですよね。キャサリン・ヘップバーン、うまし!です。