『君が世界のはじまり』:「若ささわぎ」とでも言えばいいのか、青春は @DVD

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昨年7月公開の日本映画『君が世界のはじまり』、DVDで鑑賞しました。
監督は『おいしい家族』の、ふくだももこ
自身の短編小説『えん』『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』をミックスしての映画化です(原作はいずれも未読)。
さて、映画。

大阪郊外のさびれた町。
優等生の高校2年生・エン(松本穂香)は、昔からの友だちで成績ビリのコトコ(中田青渚)と退屈な毎日を過ごしていた。
事あるごとに、解体直前の体育館の倉庫に忍び込んで、時を過ごすのが常。
そんなある日、コトコはサッカー部のナリヒラくん(小室ぺい)にひと目惚れ。
これまで彼氏をとっかえひっかえ、出逢っては別れを繰り返していたコトコだったが、これからは心を入れ替え、ナリヒラくん一筋宣言をするが、当のナリヒラくんが思いを寄せるのは、エン・・・
そして、エンが心寄せるのは・・・

というところからはじまるのが、原作小説での『えん』パート。

一方、幼い頃に母親が出奔し、父親とふたり暮らしのジュン(片山友希)は、父親と過ごす時間が苦痛。
ぶらぶらするのは郊外のショッピングモール「ベルモール」。
いつものようにモールで時間をつぶしていたある日、モールの駐車場で東京からの転校生・イオ(金子大地)が継母とただならぬ関係にあるのを目撃してしまう。
そして、そのことがきっかけで、ジュンはイオと付き合うようになる・・・

というのが、『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』パート。

それぞれふたつの物語は別々に進行していくが、突然の豪雨をきっかけにして、ふたつの物語が合流することになる。

ふくだ監督は、ロングショットやクロースショットを巧みに切り替えて、青春時代の遣る瀬なさのようなものを演出しています。
雰囲気も悪くないのだけれど、ロングショットになると、音声が悪く、セリフが聞き取りづらくなるのが難点。
そのせいで、いくつかの重要なセリフを聞き逃しているかもしれません。

ふたつの物語が合流するのは件のショッピングモールで、無人のモール内で、青春のどこへぶつけていいかわからないエネルギーを暴れまくってブルーハーツの「人にやさしく」をセッションするくだり。

ブルーハーツの曲がモチーフということもあって、思い出したのは『リンダ リンダ リンダ』。
本作の脚本を書いた向井康介は、『リンダ リンダ リンダ』も書いているので、なるほどと納得。

そして、ふたつの物語が合流したあと・・・

いわゆる売れ筋の青春群像劇だと、恋愛が成就して、誰もがしあわせ・・・ みたいな決着になるのだろうが、この映画ではそんなことはない。

集まっても別れていく、それが青春だといわんばかりの決着で、最後に登場するタイトル「君が世界のはじまり」におっかぶさって出る英語タイトル「My name is young」がいい。
この終わり方は、『ザ・コミットメンツ』あたりのアイルランド舞台の青春映画を彷彿とさせます。
「胸騒ぎ」ならぬ「若ささわぎ」とでもいえばいいのででょうかしらん、青春というものは。

それにしても、残念なのは、聞き取りづらい音声。
アフレコでもよかったんじゃないかしらん。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

<追記>
気になったのは2点。
ひとつは、2020年でもブルーハーツ? と思わなくもなかったですが、2000年になってからドラマの主題歌で使われ、最近ではガールズバンドのアニメ主題歌にも使われているようで、根強い人気があるようですね。
もうひとつは、風景がどうにも大阪郊外に見えない。撮影協力に「栃木県フィルムコミッション」とあったことから調べてみたら、ベルモールの所在地は宇都宮市!
やはり、北関東の風景だったのね。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品: 8本
 外国映画 4本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 4本(うちDVDなど 0本)

旧作:2021年以前の作品:18本
 外国映画13本(うち劇場鑑賞 1本)
 日本映画 5本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2021年03月09日 15:12
なるほど、やはり北関東でしたか。郊外にしても大阪らしくないなと思って観てましたが、やはりね。北関東というのは一種独特な閉塞感があります。それが今回の行き場を失った青春と通じあうものがあったということですかね。それにしてもセリフが聞き取り辛く、というか聞こえないことにイライラし、物語はよかっただけに残念でした。
りゃんひさ
2021年03月09日 20:28
>ぷ~太郎さん

THE北関東・・・ 閉塞感、強し。