『ヒッチハイク』:単なるサスペンス&バイオレンス映画の枠を超えて観てみると・・・ @DVD

ヒッチハイク.jpg

『濡れたダイヤ』に続いて鑑賞したコリンヌ・クレリー出演作品は、1976年製作の『ヒッチハイク』。
ジョイパックフィルムの配給でロードショウされた・・・と記憶していたのですが、ワールド映画の配給だった!
と、別に「!」をつけるほどではない事柄なんですが。
さて、映画。

米国中西部ををキャンピング・カーで旅行中の夫婦(夫:フランコ・ネロ、妻:コリンヌ・クレリー)。
ふたりの関係は冷え切っている。
どうも、妻が大企業・富豪の娘で、夫がしがない三流記者であるあたりに原因があるらしい。
旅行中の運転は妻に任せっきりで、夫は終始酒をあおって酔っぱらっている。
そして酔っぱらいながら妻に言い寄り、無理やりコトを済ませる・・・
そんなふたりだったが、まもなく旅行も終わりに近づいた道中、自動車を故障させた若い男(デヴィッド・ヘス)を拾ってやる。
気のいい青年に見えたが、男は警官殺しをした上に200万ドルもの大金を強奪した一味のひとりだった。
男は大金の入った大きなスーツを持っており、次第に凶暴性をあらわにしていく・・・

といったところからはじまる物語で、後の『ヒッチャー』を彷彿とさせるサスペンス&バイオレンス・・・と言いたいところだけれど、どうも本質的なところは、そんなありふれたサスペンスものとは異なっている。

というのは、冒頭に描かれる一幕で、野原に用を足しにいった妻を、離れたところから夫がライフルの照準器で狙っている。
当然、引き金は引かないが、その異常性は顕著であり、その後すぐに描かれる夫による妻への暴力的行為も異常性がうかがえる。

ここいらあたりで、なんとなく連想したのは「愛の不毛」という言葉。

「愛の不毛」といえば、ミケランジェロ・アントニオーニの十八番であるが、本作品のパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレも同じイタリア人監督。
無意識のうちに、そんな傾向がないとも言い切れない。
同監督は、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『若者のすべて』『山猫』で共同脚本を担当しているし、ちょっとインテリなところがあるかもしれない。
また、カトリーヌ・スパーク主演の『女性上位時代』なども監督し、艶笑喜劇も得意のよう・・・ そういえば『SEX発電』というのも監督している。

やはり、ストレートなサスペンス&バイオレンスとみるだけでは、不足かもしれない。

で、本作に戻ると、強盗犯役のデヴィッド・ヘスは、『真夜中の狂気』を彷彿とさせる異常性を発揮しだし、遂には、夫の眼前で妻を犯してしまう・・・
しかし、犯される妻は淡々としており、「これが復讐」と言わんばかりに、縛り付けられた夫をにらみ返す。

やはり「愛の不毛」的な旋律が流れていると言えます。

夫の命を狙った強盗犯の青年は、気を許したところを、全裸の妻からライフルで撃ち殺されるが、普通のサスペンス&バイオレンスならば、ここで夫婦愛を取り戻して、めでたしめでたしのところが、この後も20分ほど物語が続く。

強盗犯をやっつけた夫妻であるが、ひょんなことから田舎町の暴走族グループに絡まれるところとなり、遂には、彼らの悪だくみによって、乗っていたキャンピングカーは転倒してしまう。
息絶え絶えで脱出した夫は、こともあろうか、虫の息の妻を見殺しにし、強盗犯の死体とともに火を放ち、大金を持ち逃げしてしまうのである。

この結末にはビックリ。

弱体化した男性性・男性主義(マチズモ)の復権、という感じがし、現代だったら到底通用しない結末のような感じがします。
似ているかも・・・と思ったのは、リナ・ウェルトミュラー監督の『流されて・・・』。
あちらは無人島に流されてしまった男女のうち、下僕が本領ともいうべき男性性を発揮する物語で、無人島生活から実社会に戻ってしまうと、主客転倒、元通りという内容だった。

なるほどねぇ、70年代というのは男性性が去勢されていく時代だったのかもしれません。

と、まぁ、全体的にはまだるっこしいサスペンス&バイオレンス映画なのだけれども、考察して深堀すると、意外な面も見えてくるように思いました。

評価は★★★(3つ)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:11本
 外国映画 6本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 5本(うちDVDなど 0本)

旧作:2021年以前の作品:24本
 外国映画18本(うち劇場鑑賞 1本)←カウントアップ
 日本映画 6本(うち劇場鑑賞 0本)
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