『花束みたいな恋をした』:ハッピーエンド=しあわせな別れ方 @DVD

花束みたいな恋をした.jpg

ことし1月にロードショウされて長らくロングラン上映された『花束みたいな恋をした』、DVDで鑑賞しました。
前置きなしで、さて、映画。

京王線・明大前駅で終電を逃したことで偶然出逢った大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。
その後、同じく終電を逃した男女ふたりと連れ立って入った店で、ふたりは偶然、ふたりにとって「神」とも言うべき押井守監督(本人)を見つける。
しかし、同席の男女ふたりは押井に気づかず、事もあろうか、実写版『魔女の宅急便』について話し出す。
店を出た後、そのことを道々話した麦と絹は、ふたりの趣味嗜好が同じで、惹かれあっている予感めいたものを感じる・・・

といったところからはじまる物語で、その後ふたりは、なんだかんだあった後に調布駅から徒歩30分多摩川が見えるアパートで暮らし始める。

前半はふたりが暮らしはじめるまでのラブラブな描写で、ちょっとしたエピソードなど、「恋愛あるある」の描写が繰り広げられます。

麦と絹は大学を卒業するも就職せず、麦は親からの仕送りとバイトとイラストの請負仕事、絹もアイスクリーム屋のバイトで生活を続けていくが、ある日、麦の父親(小林薫)が新潟県長岡から上京し、定職に就いていない麦をみて、五万円の仕送りを止めると言ったことから、ふたりの生活は激変する。
家賃の大半を麦の仕送りに頼っていたから、金が足りなくなることは目に見えている。
ふたりはそれぞれ1年遅れで就職活動をし、二級簿記資格を得た絹がひと足早く歯科事務の仕事を得、半年遅れで麦もロジスティクスの会社に就職する・・・と展開する。

ここいら当たりの展開はかなりリアルで、ひと昔前(20世紀)の映画ならば、
イラストレーターを目指す男はやはりそのまま金にならないイラスト仕事を続けて、女のほうはアルバイトを続ける、いわゆる「糟糠の妻」的展開になり、挙句、男は浮気、さらには女のほうに子どもが出来、すったもんだの修羅場を迎える・・・
みたいな感じになるところ。
(我ながら古臭いなぁとも思うが)

ですが、ロジスティクス会社に就職した麦は、当然のことながら、仕事に大半の時間も気持ちも奪われていき、これまでどおりのラブラブな関係を続けていきたい絹との間はどんどんと開いていく・・・と展開します。

そうですよね、定職に就いたら、そうなっちゃうわ。

イラストレーターになる夢を捨てた麦に耐えきれなかった絹は、つまらなかった歯科事務の仕事を辞め、自分の趣味に近いイベント会社に転職してしまう・・・

そして、最後は当然のことながら麦と絹は別れることになるのだけれど、ふたりでよく行ったファミレスの席で、出逢った頃の自分たちと瓜二つの初々しいカップルを目撃し、「花束みたいな恋」は終わったことを実感する。

ここへきてこの映画の真骨頂が現れる。
「花束みたいな恋」が終わったことを実感したふたりが、「しあわせに別れる」エンディングである。

恋愛映画の鉄板、「ハッピーエンド」を、修羅場もなく、後腐れもなく「別れる」。
ここが、多くの観客に支持されたのでしょう。

その後のエピローグ、偶然再会した麦と絹だが、ここでも後腐れなく別れる。

そう、こんなしあわせに満ちた恋愛映画は、これまでなかったのだ。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:29本
 外国映画15本(うちDVDなど 3本)
 日本映画14本(うちDVDなど 5本)←カウントアップ

旧作:2021年以前の作品:61本
 外国映画38本(うち劇場鑑賞 3本)
 日本映画23本(うち劇場鑑賞 5本)
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この記事へのコメント

じゃむとまるこ
2021年07月23日 16:49
思っていたのよりずっと良さそうです、余韻に浸れそうな気がします、鑑賞予定にします。
りゃんひさ
2021年07月24日 00:24
>じゃむとまるこさん

よろしければご覧くださいませ。
ぷ~太郎
2021年07月28日 17:28
この手の若者向け作品の中ではいい出来でしたね。「幸せな別れ」ですか。疑問なのは、なんであんな事で別れてしまうのですかね?
乗り越えていこうとはしないのですかね?
麦はまっとうに大人になっていったのに、絹がいつまでも子供のままのような気がして、同性として気持ちはよ~くわかるのですが、何とかならなかったのかなと思ってしまいました。
りゃんひさ
2021年07月28日 21:51
>ぷ~太郎さん

あれぐらいで別れるから「しあわせな別れ」であり、「あぁあ、わたしも別れておけばよかったなぁ」という共感を得ているようにも思いました。
あのまま関係を続けると、昔でいう「ぬかみそ」臭さ、いまなら、レトルト食品の中身を出した後が山積みになったような生活臭、ビンボウ臭が漂うふたりになったと思います。
ま、それが現実なわけで、結局のところ、ファンタジーなのです、この映画。