『シャイニング 北米公開版』:ジャックの狂気が爆発するまでがジワリと延びて @午前十時の映画祭

シャイニング北米公開版.jpg

午前十時の映画祭で上映されている『シャイニング 北米公開版』を鑑賞しました。
スティーヴン・キングの原作をスタンリー・キューブリックが監督したものだが、日本で劇場公開されたのは119分のインターナショナル版。
今回は20分以上長い143分。
今回の午前十時の映画祭で、これだけは観たかった作品です。
さて、映画。

米国コロラドの山中にそびえるオーヴァールック・ホテル。
冬の5か月間は雪のために閉鎖される。
極寒の環境からホテルを保全するための管理人と雇われたのは売れない小説家のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)。
妻ウエンディ(シェリー・デュヴァル)と息子ダニー(ダニー・ロイド)の3人のみでの住み込み作業だったが・・・

といったところからはじまる物語で、先住民たちの墓地の上に建てられたホテルには悪霊が棲みついており、ジャックはいつしか悪霊たちに取り込まれ、狂気に蝕まれていく・・・

日本で公開された119分のインターナショナル版と物語は変わらないが、印象は恐ろしく異なります。

インターナショナル版になかったのは、主にジャックが悪霊に魅入られて狂気に蝕まれるまでのところで、
冒頭の面接シーン(インタビューという字幕はいただけない)の一部や、ジャック一家がオーヴァールックに到着して館内を案内されるシーンの一部などの細かいところのほか、

一家が自動車でオーヴァールックに向かうまで、残されたウェンディとダニーのエピソード(ダニーがインビジブル・フレンドのトニーとおしゃべりをして昏倒、小児科医にウェンディが経緯や、ダニーが泥酔したジャックによって肩を脱臼した過去があることを打ち明けるシーン)がまるまるカットされていました。

これら北米公開版だけにみられるシーンにより、映画全体のテンポは遅くなっているのだけれど、物語に深みを与えているという効果があるので、どちらが好きかと訊かれれば、北米公開版と答えます。

インターナショナル版では、端から狂気じみているように見えるジャックですが、北米公開版ではそれほどイカれているようには見えません。
これは、物語のテンポが遅くなったことで、ジャックの発火点が遅くなったことによるのかもしれません。
(ただし、冒頭の家族での自動車行では目つきが怖すぎなんだけ)。

ステディカムの移動撮影シーンや重厚な音楽には当然のことながら心惹かれますが、今回感心したのはジャックの狂気が発火し、ウェンディを中央階段へ追い詰めていくシーン。
ここは、バストショットの切り替えしだったんですね。
カメラも被写体であるジャックとウェンディも動いているので気づかなかったのですが、小津映画のような正面からのショットを切り替えしています。
ジャックの罵詈雑言で追い詰められるウェンディの心理が強く伝わり、バットでの反撃シーンでポーンとカメラを引く編集のタイミングが「お見事」。

いやぁ、観る度に発見があるものですね。

評価はインターナショナル版より上にとって、★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:31本
 外国映画17本(うちDVDなど 5本)
 日本映画14本(うちDVDなど 5本)

旧作:2021年以前の作品:62本
 外国映画39本(うち劇場鑑賞 4本)←カウントアップ
 日本映画23本(うち劇場鑑賞 5本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2021年08月02日 15:23
ほほう、それほど北米公開版はよかったのですか。長くなった分、物語に深みがでたのは大いに利点でしたね。「シャイニング」は好きな作品ですが、ジャック・ニコルソンのあの顔だと、最初に見た時点で何か起こす要注意人物に思えてしまうのが残念です。
りゃんひさ
2021年08月02日 18:03
>ぷ~太郎さん

>ジャック・ニコルソンのあの顔だと、最初に見た時点で何か起こす要注意人物に思えてしまう
・・・というところを弱めるところまでは行っていません。ホテルへ行くまでの自動車シーンでのニコルソンの顔が怖いのは致命的にダメなので。