『おらおらでひとりいぐも』:ひとりでいぐも、寂しさ三人づれで @DVD

おらおらでひとりいぐも.jpg

昨年11月公開の田中裕子主演作『おらおらでひとりいぐも』、DVDで鑑賞しました。
監督は『南極料理人』『キツツキと雨』『滝を見にいく』の沖田修一
原作は芥川賞受賞、若竹千佐子による同名小説ですが、未読です。
さて、映画。

東京にほど近い、郊外の街に暮らす70代半ばの桃子さん(田中裕子)。
息子と娘は独立し、夫に先立たれたためにひとり暮らし、寂しさは募るばかり。
ともすれば、三人の寂しさが目の前に現れることもある・・・

といったところからはじまる物語で、桃子さんと同じ格好をした三人の寂しさを濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎がユーモラスに演じています。

寂しさを具現化することで、ある種のファンタスティック感が出て面白いが、あまり出しゃばりすぎるとうざったい、と匙加減が難しい。
この映画では、うざったくなることが時折ありました。

そうですね、この手の演出は舞台演劇ならばすんなりと入ってくるところなんですが、映画だとやはり難しい。
桃子さんのモノローグばかりでは、画面も単調になってしまうし・・・

先の東京五輪の年(昭和39年ですね)に、親から押し付けられた縁談に抵抗し、「新しい女」を目指したけれども、結局は、都会にほど近い街で古いタイプの「いい妻、いい母」に収まってしまった・・・と嘆くあたりが興味深いです。

若い時の桃子さんを蒼井優、先立った夫の若い頃を東出昌大を演じています。
このふたりの組み合わせ、割とよく観るなぁ、って感じ。
ふたりの馴れ初め話を回想シーンでみせるけれども少々長すぎで、後々の台詞などでわかるから画でみせる必要もないのではないかしらん、とも感じました。

よかったシーンはいくつかあるのですが、特によかったのは、林の中を老いた桃子さんと若い時分の夫が並んで歩くシーン。
いわゆるファンタジーシーンなのですが、リアルな撮影がかえってファンタスティック感を出していました。
森や林の中というのは『キツツキと雨』『滝を見にいく』でも登場しましたので、沖田修一監督の得意シーンなのでしょうね。

2時間20分近い尺なのですが、やはり長いなぁとも感じました。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:25本
 外国映画13本(うちDVDなど 2本)
 日本映画12本(うちDVDなど 3本)

旧作:2021年以前の作品:58本
 外国映画37本(うち劇場鑑賞 3本)
 日本映画21本(うち劇場鑑賞 4本)←カウントアップ
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この記事へのコメント

じゃむとまるこ
2021年07月08日 09:20
邦画は厳選して観ているのですが、
>「新しい女」を目指したけれども、結局は、都会にほど近い街で古いタイプの「いい妻、いい母」に収まってしまった

夫もなくなってしまったし、過去に引き戻されながらもおひとりさまの生き方をたのしむ方向に舵を切る、ということなんだと思うんですけど、結局舵を切り切れなく、という感じで観客にカタルシスがないです。
若い頃の夫、東出昌大は、過去は美しい、とばかりキラキラのオーラが有ってよかったです。
りゃんひさ
2021年07月08日 10:07
>じゃむとまるこさん

>おひとりさまの生き方をたのしむ方向に、結局舵を切り切れなく・・・
というあたりが、どうもねぇ。
主演が田中裕子なので、元祖「新しい女」やん!とも思ってしまうし(若い頃の蒼井優よりも新しい女感が強いです)。
東出、キラキラオーラ発出しまくりでしたね。
ぷ~太郎
2021年07月08日 17:37
なんでこういう風に作ったのか、理解に苦しみます。私には寂しさ1.2.3がうざったい。ファンタスティック感も必要な点は認めますが、あそこまでやると逆効果なのではと思ってしまいますね。過去のなれそめも長すぎで「くそ周造」の歌もバカらしい。過去と向き合いながら、夫死別の寂しさも受け止めて、それでも前を向いていく桃子さんを普通に撮った方が好感がもてたのではないでしょうか。そもそもこの作品、桃子さんが名実ともに自立したところがスッキリ描けていないのが問題では?
りゃんひさ
2021年07月08日 21:23
>ぷ~太郎さん

やはり、桃子さん、自立しているようにみえませんね。原作がどうなのかはわかりませんが、そこんところが映画としては最大の欠点ですね。