『ホテルニュームーン』:母親の立場をもう少し掘り下げてほしかった @DVD

ホテルニュームーン.jpg

昨年9月公開の日本・イラン合作映画『ホテルニュームーン』、DVDで鑑賞しました。
監督は『オーバードライヴ』『孤独な惑星』の筒井武文
監督作品を観るのは、本作がはじめて。
さて、映画。

テヘランで大学生の娘モナ(ラレ・マルズバン)とふたり暮らしをしているヌシン(マーナズ・アフシャル)。
ある日、不審な電話がヌシンのもとに掛かってくる。
ヌシンは電話を無視するが、その夜、こっそりと家を抜け出す。
後をつけたモナは、母がホテルのロビーで見知らぬ日本人の中年男性(永瀬正敏)と会っている現場を目撃する。
モナは母から、父親はモナが生まれる前に山で命を落とした、と聞かされていたが、実は、あの中年の日本人男性が自分の父親でないか、と疑念を深め・・・

といった物語で、観客としてもモナと同じような気持ちをもって映画を観ることになります。

そのとおりならば、わかりやすい安っぽいドラマになるが、そうはならない。

映画終盤で明らかになるが、ヌシンは若い時分に熱烈な恋愛をし、家を出て、彼とふたりでホテルで暮らしていた。
そのホテルが「ホテルニュームーン」。
ふたりは、ふたりして日本に出稼ぎに行こう(すなわち、駆け落ちしよう)と約束していたが、男の方が土壇場で弱気になって故郷に帰ってしまう。
ひとり日本に出稼ぎ(たぶん、技能実習生)に来たヌシンに、妊娠していることが発覚。
出産を控えて、雇用主夫婦のもとで暮らすことになり、そのときの雇用主が件の日本人中年男性。

出産したヌシンであったが、未婚の母はイラン社会では御法度。
ならば、ということで子どもを授からなかった雇用主の夫婦が生まれた子どもを養子に迎えようと申し出、実際、そうなるはずだったが、母親ヌシンとしては子どもを諦めきれず、帰国の際に日本人夫妻に黙って、子どもを連れ帰ってしまう・・・

なるほど・・・の話なのだけれど、映画のバランスが悪く、娘の物語や日本人夫婦の物語にも重点が置かれたために、肝心のヌシンの心情が伝わりづらくなってしまったように感じました。

イラン社会における未婚の母がどのような立場になるのか、といったあたりを、ヌシンと友人の会話なりで描いておいた方がよかったかもしれません。
(イランでも公開されることを前提に、そこのところは描く必要はない、と判断したのかもしれないが)

なお、日本人夫婦の話がやや長めに描かれているのは、妻役が小林綾子だからだろう。
朝の連続テレビ小説『おしん』はイランでは大人気で、幼い時分のおしんを演じた小林綾子も人気が高いようなので。

イランとの合作というチャレンジ精神も認めるが、日本・イランの両にらみで欲張りすぎた結果、かえって中途半端になったような気もします。

評価は★★★(3つ)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:25本
 外国映画13本(うちDVDなど 2本)
 日本映画12本(うちDVDなど 3本)

旧作:2021年以前の作品:59本
 外国映画38本(うち劇場鑑賞 3本)←カウントアップ
 日本映画21本(うち劇場鑑賞 4本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2021年07月08日 17:40
仰せの通り、いろいろな視点がありすぎて、かえってトッチラケになった感じの作品でしたね。イランのいろいろな情勢が伝わってくるのかと期待した作品でしたが残念でした。
りゃんひさ
2021年07月08日 21:21
>ぷ~太郎さん

イランの観客にはこれでよかったのかしらん? よいとは思わないですけど。