『ホムンクルス』:クローネンバーグ、リンチ・ファンとして期待したが・・・ @DVD

ホムンクルス.jpg

ことし4月にロードショウされた映画『ホムンクルス』、DVDで鑑賞しました。
清水崇監督、綾野剛、成田凌主演で期待していたのですが、割引料金のない特別興行だったので、パス。
たぶん配給会社がエイベックス・ピクチャーズと通常の配給会社でなかったことが原因かと思うのですが。
さて、映画。

新宿でホームレス生活を送る名越(綾野剛)。
生活の場は愛車の中。
ホームレスといってもカネは持っていて、高層ビルにある高級レストランで食事もしたりする。
しかし、カネは持っていても記憶も感情も失ってしまっている。
そんな彼に近づいてきたのは、謎めいた研修医・伊藤(成田凌)。
伊藤は名越に、自分が研究している「トレパネーション」と呼ばれる額の中央の頭蓋骨に穴を空ける手術を受けるよう勧める。
記憶と感情とともに、希望も失っていた名越は、手術を受けるのだが、その結果、左目だけで見ると人間が異形の姿に見えるようになってしまう。
伊藤は、その異形の姿を人間の深層心理、真の姿「ホムンクルス」と呼んだ・・・

というところからはじまる物語で、ひえぇ、これはとっても好みな展開ではありますまいか。

精神領域と変貌する肉体といえば、デイヴィッド・クローネンバーグやデイヴィッド・リンチ的。

で、このプロローグは面白いのだけれど、この後に続く展開がいけません。

小指を切り落とすことに執着するヤクザの親分(内野聖陽)や母親の束縛が厳しい女子高生(石井杏奈)のエピソードは、名越の能力を説明するためのものなのでさらりと見せればいいだけにもかかわらず、それなりの尺をとってみせており、これがどうにもテレビの連続物のような雰囲気。
十数分に一度の見せ場、といえば聞こえはいいが、要するにエピソードの羅列の域を出ず、後半の本丸、昔の名越の恋人らしき謎の女性(岸井ゆきの)との物語で、深みと広がりを欠く結果となってしまった。

その謎の女性の物語も、いわゆる「謎解き」的結末をもってくることで、物語の底の浅さを強調することになった。
ただし、謎の女性もトレパネーション手術を受けており、ふたりが額に遺された丸い傷跡を寄せ合うシーンは、物語の背景にある「金環日食」のイメージと重なり合って、映画的なシーンになっていることは評価したい。

最終的に名越は、伊藤のホムンクルスを見、伊藤の背後にあるトラウマを伊藤に突き付けるのだが、名越と伊藤の相似形が演出されていないので、主客転倒的な面白さは欠けてしまい、やはり「謎解き的面白さ」の落ち着いてしまい、残念。

綾野剛、成田凌、岸井ゆきのとそれぞれ好演なだけに、串刺し団子のようなエピソードの羅列ストーリーが残念。

評価は★★★(3つ)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:50本
 外国映画30本(うちDVDなど13本)
 日本映画20本(うちDVDなど 7本)←カウントアップ

旧作:2021年以前の作品:75本
 外国映画50本(うち劇場鑑賞 4本)
 日本映画25本(うち劇場鑑賞 5本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2021年11月05日 18:15
これもがっかりな作品でした。導入部分は面白いのですが、その後のエピソードがいただけない。内野聖陽のはバカらしくて苦笑いもの。
りゃんひささんの言うように、最終的な名越と伊藤の相似形が際立たず、船頭多くして船山に上るというか、沼に沈んだ作品となってしまいました。発想は面白いだけに残念でした。
りゃんひさ
2021年11月06日 22:18
>ぷ~太郎さん

ちょっとね、がっかりな作品でしたので、ま、これ以上は書かないことにしておきます。