『マトリックス』:ホワイト・ラビットを追って行け! @DVD
1999年公開の『マトリックス』、DVDで鑑賞しました。
公開当時にも観ているので、今回は、まもなく公開される新作『マトリックス レザレクションズ』の予習・復習です。
さて、映画。
大企業に勤務するコンピュータ・プログラマーのトーマス・アンダーソン(キアヌ・リーヴス)。
彼は、ネットの世界ではNEO(ネオ)と呼ばれるハッカーだったが、ある日、コンピューター画面に「ホワイト・ラビット(白うさぎ)を追って行け」という謎のメッセージが示された。
そのメッセージどおり、腕に白うさぎのタトゥーがある美女トリニティ(キャリー=アン・モス)に連れられ、謎の男モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)と出逢い、示された2種類の薬のうち、真実を伝える方の薬を服み、この世界が現実のものでないことを知らされる・・・
というところからはじまる物語で、いまさら説明の必要などないかもしれません。
実際の世界は、AIにより支配された世界で、人間はAIたちを動かすためのエネルギー(人間電池)として、小さなセルの中で仮想現実をみせられて一生を終えるというのだ。
はじめて観たときは、ピンと来なかったのだけれど、2作目・3作目を見続けるうちに、「これはコンピューターの中の世界の擬人化アドベンチャーなのね」と思いました。
コンピュータ・プログラマーの業界では、パソコンくんとか、エクセルくんとか、無機物を「くん」付けすることも多く、ソフトウェアやアプリの動きが遅い時などは、「中のこびとがいま、一生懸命はたらいているんだよねぇ」なんて言うことも多い。
モーフィアスやネオなどは、コンピュータからみればウィルスであり、それを駆除するためソフトウェアがエージェント・スミスくん(ヒューゴ・ウィーヴィング)なわけだ。
ま、それは間違っていないけれど、これは『不思議の国のアリス』の物語でもあり、ベトナム戦争を経た後の混沌のアメリカの物語でもあるのだろう。
「ホワイト・ラビットを追って行け」は、まさに『アリス』のモチーフで、モーフィアスが取り出す赤と青の2種類のカプセル薬は、ベトナム戦争たけなわの頃の幻覚剤からの引用。
ベトナム戦争=幻覚剤=ホワイト・ラビット=『アリス』の連想は、ジェファーソン・エアプレインの曲「White Rabbit」が仲介しており、念の入ったことに新作『マトリックス レザレクションズ』の予告編で使われている。
モーフィアスの名は、CG技術のモーフィング(ある画像から別の画像へ連続的に変形させる画像表現・技術)から取られていて、世界を変容させるものの意味であろうが、モーゼの頭韻でもある。
ネオ(NEO)が救世主(ONE)のアナグラムであることは2作目・3作目で明かされており、トリニティの名は「三位一体」であることから、キリスト教の物語でもある。
そうすると、新作『マトリックス レザレクションズ』は、レザレクションが「復活」の意であるから、ゴルゴダの丘での死後の復活物語になるのだろうか。
2作目・3作目を改めて観る時間がないので、ちょっと不安なのだけれど、レザレクションが「複数形」なのは、どういうことなのだろうか・・・
と新作が気になったわけです。
カンフー&ワイヤーアクション、いま見なおしても、この映画の影響が大きいことがよくわかります。
(個人的には、説明的アクションには、まるで心躍らないんですが)
評価は★★★☆(3つ半)としておきます。
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2021年映画鑑賞記録
新作:2021年度作品:69本
外国映画42本(うちDVDなど17本)
日本映画27本(うちDVDなど10本)
旧作:2021年以前の作品:102本
外国映画75本(うち劇場鑑賞 6本)←カウントアップ
日本映画27本(うち劇場鑑賞 6本)
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