『竜二』:ヤクザは、死ぬまでヤクザだ・・・竜二の、諦念に近い自覚 @DVD

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1983年公開の日本映画『竜二』、DVDで鑑賞しました。
公開翌年の夏に2本立て映画館で観ているので、30年ぶりの再鑑賞です。
ことしは年頭に『ヤクザと家族 The Family』『すばらしき世界』の2本があり、鑑賞後、すぐ頭に浮かんだのが本作でした。
DVDを置いているレンタルショップがないなぁと諦めていたら、灯台下暗し、今年に入ってからよく利用するショップにありました。
さて、映画。

新宿に縄張りをもつ三東会の花城竜二(金子正次)。
舎弟にふたりの若い者、直(桜金造。佐藤金造名義)とひろし(北公次)がいる。
いまでは、ルーレットを中心にした闇カジノをもっていて羽振りがいいが、数年前まではかなり汲々としていた。
竜二を支えていたのは妻のまり子(永島暎子)。
しかし、そのまり子も、暴力事件で拘置所に入れられた竜二の保釈金を実家の両親に泣きつき、竜二と別れるという条件を呑んで、いまは九州の実家に戻っている。
羽振りはいいが、どこか遣る瀬無い思いが募る竜二は、かつての兄貴分で、今は堅気となって小料理屋をやっている関谷にその思いを吐露すると、関谷は堅気になることを薦めた・・・

という物語で、後半は、妻子を呼び寄せ、堅気に戻った竜二の姿が描かれます。

闇カジノを持ち、それなりに羽振りもよく・・・といった状態でも、竜二の暮らしぶりは豪勢ではなく、それほど広くないマンションに直とひろしを使って住んでいるレベル。
製作費も少なくオールロケで撮っていることもあるが、すこぶるリアルで、羽振りのいいヤクザといってもこれぐらいだということがわかる。

堅気になった竜二は、まり子の実家に挨拶に行き、それまで以上に小さなアパートで親子三人で暮らすようになります。
職は関谷に紹介された卸中心の酒屋。
ビール瓶のケースを毎日毎日、軽トラックで運ぶ生活。
給料も以前とは比べものにならない少なさ。
しかし、まり子はそんな生活に幸せを感じています。

それに対して竜二は、なにかもやもやとしたものを胸に抱え始めます。

三度目の給料日、家にまっすぐ帰るのに少し嫌気を覚えた竜二は関谷の居酒屋を訪ね、娘のことを話します。
最近、娘が俺の真似だと言って、未見に皺を寄せた顔をするんですよ、と。

このシーンがいいです。
幸せなのか、幸せでないのか、躊躇している感じ。

胸中のくすぶりは大きくなります。

堅気になった竜二を訪れた昔の兄弟分。
覚せい剤中毒になった兄弟分に対して、何もしてやれなかった・・・そんな思いを抱いていた矢先、その兄弟分が死んでしまいます。
遺骨は小さなアパートの隅に置かれ、情婦が佇んでいる。
遺骨に手を合わせて、香典を差し出す竜二に対して、死んだ兄弟分のの情婦は「死んでから(金を)もらっても仕方がないんだよ」と面罵し、突っ返す。

しばらくして、ひろしが竜二のアパートを訪ねてくる。
目立つスーツを着て、すっかり男を上げたひろし・・・
まり子は、そんなひろしを見る竜二に一抹の不安を抱き、その夜は激しく竜二を求める・・・

それでも、堅気の世界に繋ぎ留められていた竜二は、配達途中の軽トラックで主人が、かつての悪自慢を話すのにキレてしまいます。
そんな、たかだか、悪ガキ程度の振る舞いを自慢されている自分に心底、嫌気が差してしまい、遂に、町の商店街の安い肉屋の特売に並ぶまり子と娘の姿をみた竜二は、堅気の生活、市井の生活に居れなくなってしまう・・・

ヤクザは、死ぬまでヤクザだ・・・ 竜二の、諦念に近い自覚。

新宿の街に戻る竜二には諦念が溢れている。
それが、この映画が、これまでのヤクザ映画と一線を画するところなのでしょう。

役者陣では、やはり金子正次のリアル感がすごいです(これは初見時には、それほど感じなかっです)。
永島暎子、桜金造、北公次も上手いのですが、特に驚かされるのは北公次で、金子正次と同年生まれで桜金造より7歳ほど上なのですが、その青二才ぶりには驚かされました。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:69本
 外国映画42本(うちDVDなど17本)
 日本映画27本(うちDVDなど10本)

旧作:2021年以前の作品:103本
 外国映画75本(うち劇場鑑賞 6本)
 日本映画28本(うち劇場鑑賞 6本)←カウントアップ
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この記事へのコメント

ここなつ
2021年12月17日 21:32
30年ぶりの再見ということで、色々違う思いも出てきたのでしょうね。
ヤクザ映画のみならず、邦画の中でも最高傑作に位置づけられる作品だと思っております。
私は当時、永島暎子の切なさに泣き、北公次の名演に(ああいうチンピラっぷりを見せられるのって名演ですよね?)心震えました。
金子正次は言うに及ばず、ですが。
りゃんひさ
2021年12月17日 21:51
>ここなつさん

やはり、時を経て再鑑賞すると、感じ方も違いますね。
役者陣、みな、ほんとによかったです。
北公次、当時、30代半ばだったのに、あのチンピラぶり・・・ やはり、アイドル、フォーリーブス出身!