『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』:今更ながら・・・と思いながらも、観て良かった1本 @東映70周年特集上映

きけ、わだつみの声.jpg

1950年公開の日本映画『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』、東映70周年特集上映で劇場鑑賞しました。
後の1995年に『きけ、わだつみの声 Last Friends』として再映画化されていますが、どちらも未見。
東映OB会選出ベストテン作品の1本ということもあり、この機会にと。
さて、映画。

太平洋戦争末期のビルマ、撤退を余儀なくされたインパール作戦。
所属部隊はほぼ全滅し、逃げ遅れた大木二等兵(信欣三)と鶴田上等兵(花沢徳衛)。
ジャングルの中を彷徨するうち、停留していた他の部隊と合流することができた。
かつて大学でフランス文学の教鞭を取っていた大木二等兵は、学徒出陣をした教え子の牧見習士官と再会する。
しかし、牧の部隊では多くの負傷兵がおり、糧食も途絶えた状態だった・・・

といったところからはじまる物語で、悲惨というほかないインパール作戦での日本軍の惨状が描かれていきます。

映画は、伊福部昭作曲のレクイエムのような楽曲で幕を開ける。
製作に、東映のドン、故岡田茂の名前があり、これが本格的な第1回製作作品のようだ。

1950年といえば戦後まだ5年。
戦争の記憶も生々しく、描かれる惨状に胸を痛めたひとも多かったことは想像できる。

当時の低い大学進学率を考えれば、牧をはじめその他の学徒出陣をした学生たちはエリートであり、次の日本を背負っていく人々であった。
そんな人々が襤褸屑のような扱いを受け、野垂れ死に、犬死してしまう様子は、先の戦争の無謀さの証左であろう。

彼らエリートの上に立つ大隊長は、「フランス文学というと、専門はシェークスピアかね。あれはつまらないね」という無学さで、終盤、撤退途中で戦火に見舞われると、数名の部下を連れて我先にと逃げ出してしまう有様。
身勝手で無責任な指導者、というのは、今も昔も変わらない日本の姿だろう。

「ちきしょう。誰がこんな戦争なんか始めたんだ」と嘆くが、「止められなかった責任は我らにもある」という無念さは、忘れてはならないものだろう。

下手するとエピソードの羅列で終わってしまう類の映画なのだが(ひとつひとつのエピソードが上手くできているが)、映画を引き締めているのは大木二等兵のインテリぶりで、演じている信欣三の台詞回しの上手さには驚かされる。
大学でのフランス語交じりの教鞭の口跡の良さ、クライマックスでは、この口跡の良さをも砲弾飛び交う戦場がかき消すというのも上手い演出。

今更ながら・・・と思いながらも、観て良かった1本です。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:69本
 外国映画42本(うちDVDなど17本)
 日本映画27本(うちDVDなど10本)

旧作:2021年以前の作品:105本
 外国映画75本(うち劇場鑑賞 6本)
 日本映画30本(うち劇場鑑賞 8本)←カウントアップ
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