『白い肌に狂う鞭』:陰影の濃い美しい画面で繰り広げられる、まだるっこしい怪奇映画 @名画座2本立
ルチオ・フルチ監督の名画座2本立てに続いての名画座鑑賞。
映画は『白い肌に狂う鞭』と『4匹の蝿』。
まずは、1963年製作の『白い肌に狂う鞭』から。
フランスの海岸、断崖の建つ古城。
ここでは、数年前、小間使いの娘の自殺が起こっていた。
自殺は、城の長男・クルト(クリストファー・リー)が娘を凌辱し、度重なる辱めを苦にしてのものだった。
そのとき娘が使用したナイフは静かに安置されている。
父親によりクルトは勘当され、放擲されたが、ある日、突如として帰還する・・・
といったところからはじまる物語。
小間使いの母親はクルトへの復讐心を持ち続け、父親は二男クリスチアーノ(トニー・ケンドール)に城を含めた財産一切合切を譲っていた。
クルトは、クリスチアーノの妻ネベンカ(ダリア・ラヴィ)に惹かれており、クルトとネベンカの間にはなにかしらの事情があったようだ。
そして、ある日、海岸に出たネベンカを見つけたクルトは、残虐性を抑えきれず、ネベンカを鞭打つのであった。
城へ戻らないネベンカを心配した城の住人たちは、夜、傷ついたネベンカを発見。
同じ夜、クルトは何者かによって殺害され、自殺娘が使用したナイフは消えていた・・・
と展開し、その後、殺されたクルトの霊が現れてネベンカを悩ますと同時に、城の住人たちの殺害事件が引き続いて発生する。
残虐なクルトの霊が蘇って惨劇を繰り広げているのか、神経を病んでしまったネベンカの幻覚なのか、あいまいなまま展開します。
見どころは画面作りにあり、陰影の濃いディープブルーを基調として、深紅に反転するなど、ワンショットごとの力がすごいです。
撮影監督はデヴィッド・ハミルトンとなっているが、『ビリティス』を撮った写真家とは別人のようで、ウバルド・テルツァーノの変名。
フィルモグラフィを確認すると『血ぬられた墓標』『ブラック・サバス/恐怖!三つの顔』の撮影監督を務めています。
監督はジョン・M・オールドとなっているが、マリオ・バーヴァの変名。
テルツァーノとは、『血ぬられた墓標』以降の名コンビ。
マリオ・バーヴァの映画なので、展開がまだるっこしいのが難点。
時間の経過がわかりづらく、終始、同一のトーンで進むため、何日ぐらいの出来事なのかがさっぱり不明。
終盤、城の墓所・死体安置所のクルトの棺を確かめたところ、中の死体はかなり腐敗が進み、一部白骨化しているので、相当の時間が経過したはずなのだが・・・
昼間の明るいシーンもあるのはあるのだが、メリハリが効いていないので、疲れていると寝落ちする可能性大です。
事件の真相は、
ネベンカがクルトを殺害、殺されたクルトの霊がネベンカに憑依し、その後の惨劇を繰り広げていた・・・
というのだけれど、まぁ、ちょっと、取ってつけた感が無きにしも非ずですね。
評価は★★☆(2つ半)としておきます。
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2021年映画鑑賞記録
新作:2021年度作品:69本
外国映画42本(うちDVDなど17本)
日本映画27本(うちDVDなど10本)
旧作:2021年以前の作品:110本
外国映画80本(うち劇場鑑賞 7本)←カウントアップ
日本映画30本(うち劇場鑑賞 8本)
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