『ディア・エヴァン・ハンセン』:孤独な心が胸に刺さるミュージカル @ロードショウ

ディア・エヴァン・ハンセン.jpg

11月下旬から公開中のミュージカル映画『ディア・エヴァン・ハンセン』、ロードショウで鑑賞しました。
前置きなしで、さて、映画。

学校に友だちもおらず、唯一の家族である母親(ジュリアン・ムーア)にも心を開けず、孤独な毎日の高校生エヴァン・ハンセン(ベン・プラット)。
同じ学校に通うゾーイ(ケイトリン・デヴァー)に密かに想いを寄せているが、自分の手汗が気になって話しかけることすらできない。
エヴァンの日課は、セラピストから治療の一環として課された自分あての手紙を書くこと。
いつものように図書館で「Dear Evan Hansen」で始める手紙を書いていたが、運悪く、ゾーイの兄コネー(コルトン・ライアン)に横取りされてしまう。
しかし、そのコナーがエヴァンの手紙をポケットに入れたまま自殺してしまう。
過去に更生施設に入所していたコナーには友人もなく、コナーの母親シンシア(エイミー・アダムス)は、エヴァンの書いた手紙を遺書だと勘違いし、エヴァンを自宅に招待し、コナーとの交友を聞かせてほしいと懇願する。
事実を告げようと心に決めて招待に応じたエヴァンだったが、シンシアの必死な眼差しに気圧されて、「実は、ふたりでコナーの好きな果樹園に出かけたことがある・・・」と言ってしまう。
そう言ってしまったエヴァンの左腕のギプスには、「コナー」の名前が書かれていたから、コナーの両親は信じてしまう・・・

といったところからはじまる物語で、つきたくてついたわけではない?からとんでもないことになっていくのだけれど、物語の底辺には「孤独」が大きな影を投げかけています。

冒頭、エヴァンが登校するミュージカル・ナンバーのシーンで、楽し気にふるまう学生たちが数多く背景で写され、否が応でもエヴァンの孤独を感じます。
ここで既に胸が熱くなっていました。

その後、エヴァンとコナーの初めての出逢い(エヴァンがコナーよって些細なことから脅されてしまう)や、図書館でのやり取り(手紙を奪う前にコナーは、エヴァンのギプスに名前を大書きする。それは孤独で、友だちがいないことをカムフラージュするための偽りの約束のようなもの)あたりで、エヴァンとコナーが同じくらい、もしくはそれ以上に孤独であることが示されます。

だから、コナーの両親の前で「一緒に果樹園に行った・・・」という嘘は、まぁ許せるかなぁと感じました。
しかし、その後、コナーとのメールを捏造するのは、これは確信犯なので、ちょっと道義的にどうなのか、と感じました。

映画は、エヴァンの嘘が後戻りできないようになって、エスカレートしていくさまを描いていきますが、それはエヴァンがついた嘘に感動を求める無関係な他人の存在も大きいですね。

で、嘘を認めたエヴァンが・・・というように物語は展開するのですが、核心はそこんところにあるのではなく、いつも疎外されて孤独だったエヴァンとコナーの本当の姿が前面に現れるところにあります。

皆から粗暴で、すぐキレる奴と思われていたコナー。
どんくさく、臆病で、木登りでへまをして腕を骨折したと思われていたエヴァン。

誰も彼も、見たいものを見たいようにしか見ていなかった・・・

それにしても、ミュージカルがこれほどパーソナルな問題を扱うとは思いもしませんでした。
あまりにパーソナルでつらいので、ストレートプレイだったら、つらくて見ていられなかったかもしれません。
ミュージカル仕立てで良かったです。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:71本
 外国映画44本(うちDVDなど17本)←カウントアップ
 日本映画27本(うちDVDなど10本)

旧作:2021年以前の作品:111本
 外国映画81本(うち劇場鑑賞 8本)
 日本映画30本(うち劇場鑑賞 8本)
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