『5月の花嫁学校』:フランスでは、5月は革命のとき @DVD
昨年5月公開のフランス映画『5月の花嫁学校』、DVDで鑑賞しました。
元日の夜に観たので、これが2022年の観初め作品です。
さて、映画。
1967年、フランス・アルザス地方。
その小さな村にあるヴァン・デル・ベック家政学校。
理想の良妻賢母を育成するこの学校にも五月革命の波が迫っていた・・・
といった字幕が冒頭に出ます。
この年代設定は物語に極めて重要で、五月革命意外にも物語を重要な背景になっています。
ヴァン・デル・ベック家政学校は家族経営で、経営者は年配のロベール・ヴァン・デル・ベック(フランソワ・ベルレアン)、校長は妻のポーレット(ジュリエット・ビノシュ)、教師はロベールの妹・ジルベルト(ヨランド・モロー)に、尼僧のマリー=テレーズ(ノエミ・ルヴォフスキー)という小所帯。
ことしの入学生は大幅減の18人の少女たち。
少女たちはフェミニズム運動の影響を受けており、学校の良妻賢母教育には納得がいかないこともしばしば。
そんな中、ロベールが急死。
競馬でつくった多額の借金が発覚、破産に追い込まれたポーレットが駆け込んだ信託銀行の支配人アンドレ(エドゥアール・ベール)は、かつての恋人だった・・・と展開します。
かつての恋人と再会、って安易な!と思うけれども、ロベールとポーレットは結婚24年。
第二次大戦の欧州戦線終盤で、アンドレとの別れもアンドレが出征したことによるもの。
戦後20年ほどなので、第二次大戦の影響は、まだかなり残っていた。
良妻賢母に代表される、戦前から続く旧価値観がまだまだ残っていた時代。
それと、五月革命に代表される新しい価値観とがぶつかり合っていた時代。
旧価値観の良妻賢母製造装置とでもいうべき花嫁学校の校長ポーレットの心を大きく動かすのは、古い恋人との新しい恋、それと、生徒のひとりの自殺未遂。
自殺を試みた生徒は、親が決めた男性と結婚することに異論はなかった。
けれど、その相手が、大農場を経営し、生活は安定しているといえども、年齢は親以上に離れている。
あまりのショックだった。
そして、ポーレットはこれまでに自分の手で、そんな少女たちを多く生み出していたことに今更ながらショックを受けるのである。
翌年5月、コンクールのためパリへ向かう一行は、渋滞の道路を行く手を阻まれる。
五月革命のため、パリへの入ることが出来なくなっているのだ。
ポーレットら一行は、バスを降りて、歩き出す。
歩き出した彼女らは高らかに女性解放を歌い上げ、映画は突如、ミュージカルに変わる。
この終幕は唐突だが、鮮やかでもある。
このミュージカルシーンで一気に好感度がアップしました。
監督のマルタン・プロヴォ、聞いたことがあるなと思っていたら、『ヴィオレット ある作家の肖像』の監督でした。
なるほど、らしい映画です。
あまり期待していなかったのですが、興味深く観ることができました。
評価はオマケ込みで★★★★(4つ)としておきます。
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2022年映画鑑賞記録
新作:2022年度作品: 0本
外国映画 0本(うちDVDなど 0本)
日本映画 0本(うちDVDなど 0本)
旧作:2022年以前の作品: 1本
外国映画 1本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
日本映画 0本(うち劇場鑑賞 0本)
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