『新聞記者』:後半エンタメに流されるが、現状精一杯の意欲作 @ムーブオーヴァー

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6月にロードショウされ、劇場を変えてムーブオーヴァーされている『新聞記者』、やっとこさ劇場で観ました。
たぶん、ことし最も話題の日本映画であろうと思うわけで、だから小規模ロードショウから4か月も劇場を変えて続映されているのでしょう。
さて、映画。

日本人ジャーナリストを父に持つ東都新聞社会部の若手記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)、ある日、彼女のもとに謎の文書がファックスされてくる。
それは、医学系大学の新設計画に関するものだが、政府のきな臭さを秘めたものだった・・・

といったところから始まる物語で、現実の政治社会情勢を踏まえた社会派サスペンスは、ここのところの日本映画では珍しい。
テレビドラマでは時折あるけれども、あまりに骨抜きになっている場合も多く、社会派と名乗るのはおこがましい場合も多い。

で、この映画、前半はそんな大学新設事件以外に、官僚など政府上層部のスキャンダル報道も暴かれ、過熱するイエロージャーナリズム的な日本の様子を巧みに描いている。
扇情的なイエロージャーナリズムを主導するのは、「内調」、内閣官房情報調査室で、いわゆるスパイ活動をする部門である(あ、ちょっと極論か)。
東西冷戦時代であれば、国家公安委員会と連携して「極左」を取り締まるべく活動していたと思われるが、そんな時代は過ぎ、北朝鮮の情勢を探るか、この映画で描かれていたように、時の政府の都合の悪いことを大っぴらにして情報を流布、世論操作をしているような部署(ま、映画ではそう描かれている)。

世論=みんな意見、というのが通念だけれども、世論のもとなんていくらでも操作できる。
確証のない噂レベルであっても、広がって、それを信じる人々が大多数ならば、それは「真実」というわけである・・・という映画前半はすこぶる面白い。

が、中盤からやや失速傾向で、問題の大学新設疑惑が、防衛問題と絡んで風呂敷を広げ過ぎたあたりから、エンタテイメント傾向が強くなってくる。

ま、たしかに、大学新設に絡んでの首相の個人的利益問題では規模が小さくなるのかもしれないが、かつてのロッキード事件(ロッキード社は戦闘機も作っている会社というのを忘れてはならない)の規模を超えて、B兵器を持ち出されると、やはり現実味が薄くなってしまう。
(もしかしたら、B兵器なんて、そんな当たり前じゃないの、なんていわれるかもしれないが)

ということで、後半はエンタテイメント寄りで少々嘘くさい。
何度も描かれる内調の様子が、薄暗く奈落の底みたいなのも嘘くさく、ああいうのは、一般的なオフィスで粛々とやっている方が恐ろしく感じるのだけれど。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:80本
 外国映画62本(うちDVDなど10本)
 日本映画18本(うちDVDなど 4本)←カウントアップ

旧作:2019年以前の作品:72本
 外国映画51本(うち劇場鑑賞13本)
 日本映画21本(うち劇場鑑賞 6本)
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