『泣くな赤鬼』:抑制が効いた演出で、難病映画というよりも良質な青春映画になった @DVD・レンタル

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ことし6月に公開された『泣くな赤鬼』、DVDで鑑賞しました。
原作は重松清
監督は兼重淳。『キセキ その日のソビト』を撮ったひとだが、観ていません。
調べてみると『海よりもまだ深く』『海街diary』などの是枝監督作品の助監督を務めていたひと。
さて、映画。

野球部の顧問を務める中年高校教師・小渕隆(堤真一)。
かつては県大会の決勝戦まで進む強豪校で監督していたが、いまは進学校の弱小チームの指導をあまり熱意もなくやっている。
そんなある日、訪れた病院でかつての教え子・斎藤(柳楽優弥)から「赤鬼先生」と呼びかけられる。
それは、強豪校で監督をしていた時分の呼び名だった・・・

といったところからはじまる物語で、タイトルは童話「泣いた赤鬼」から採られている。
なので、「赤鬼」が泣くような状況になることは端からわかっているし、その状況が教え子の病気についてのことだろうというのは早々に察しがつく。

だから、「延々と難病映画を見せられるのはなぁ・・・」と思っていたが、映画の大半は強豪校時代の教師と生徒を描くので、いくぶんホッとしました。

齋藤は、中学校時代はチームの中心を務め才能もあった。小渕もその才能には期待していた。
けれど、斎藤には一つ欠点があった。彼には「続ける才能」がない。すぐに諦めてしまう。
そんな斎藤を奮起させようと、小渕は、野球の才能は少し劣る、斎藤の幼馴染・和田を彼のライバルとして、同じサードのポジションに抜擢するが、それが裏目に出てしまう・・・

まぁ、よくある話である。
が、幾作もの是枝監督作品で助監督を務めてきた経験のある兼重監督は、それを丁寧に撮ることで、ありきたりの物語に深みを与えている。
特筆すべきは音楽の使い方で、最近の監督にしては、音楽で安易に観客の感情を盛り上げない。
高校生時代の斎藤と和田の対比も見事で、「ホント、斎藤、もう少し努力しろよ」と心から思ってしまう。

この映画のハイライトは、重篤化した齋藤が、かつてのように野球をしたいと言い、それを小渕が叶えてやるエピソード。
それまで、情熱泣く、おざなりな指導しかしてこなかった進学校の弱小野球部の面々に頭を下げ、社会人となってバリバリと働いている和田(竜星涼)に懇願に行く。
卒業してから一度も齋藤とは会ったことがない、という和田は、いくら彼が重病だと言えども野球などには付き合えないと言う。
そんな和田が、グラウンドに現れ、齋藤とかつての確執を語りあう。
和田が齋藤にいう。「お前は、いつも赤鬼に贔屓にされていた」と。

本当は認めらているのに、それに気づいていない。
気づいていないから、自己否定をし、承認欲求は強くなる・・・
なかなか上手く現代的なテーマが隠されている。

映画はこれで十分。
最後、斎藤が死にゆくシーンは要らないと思うのだけれど、ここも音楽を極力排除して撮っているので、よしとしましょうかしらん。

抑制が効いた演出で、難病映画というよりも良質な青春映画になったと思います。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:101本
 外国映画74本(うちDVDなど16本)
 日本映画27本(うちDVDなど 9本)←カウントアップ

旧作:2019年以前の作品:79本
 外国映画54本(うち劇場鑑賞14本)
 日本映画25本(うち劇場鑑賞10本)
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