『引っ越し大名!』 :松竹のお家芸が積み重なった変格時代劇の佳作 @DVD

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昨年晩夏にロードショウされた星野源主演の『引っ越し大名!』、DVDで鑑賞しました。
星野源といえば「うちで踊ろう」ですね。
踊るまではいきませんが、うちで観ようは実践中。
ま、映画館は全面休館ですから。
さて、映画。

徳川幕府五代将軍綱吉の頃。
越前松平家を祖とする姫路藩主・松平直矩(及川光博)。
この度、豊後の日田への国替えが命じられる。
国替えは藩士ほかその家族も含めた藩全体が引っ越しをするというもので、今回は減封という厳しいもの。
しかも藩の財政は逼迫しているなか、この一大事業を取り仕切る奉行がいない。
と、白羽の矢が立てられたのが書庫番を務める片桐春之介(星野源)・・・

といったところからはじまる物語で、2010年の『武士の家計簿』あたりから松竹のお家芸になりつつある変格時代劇。
ま、なにが本格で、なにが変格かはおいておくとして、チャンバラが主体のエンタテインメントではない時代劇のこと、というぐらいの意味です。

国替えのきっかけが、幕府老中・柳沢吉保の私怨みたいに描かれているが、そのあたりは映画的な誇張。
上司に無理難題を言われてたプロジェクトをやり遂げる物語の、「無理難題」の誇張。
いわゆるサラリーマンものの延長にある。
このサラリーマンものも、近年となっては松竹のお家芸ともいえるもので、昭和30年代ならば東宝のお家芸だっただろうが、『釣りバカ日誌』シリーズ以降は松竹がお株を奪っている。

ということで、松竹近年のお家芸の集大成の趣きがあるでしょう。

現代でいえば、支社全体のお引っ越し。
それも支社で働く社員全員・家族全員が対象。
けれども、会社の業績もよくないので、社員の半数は減給か馘首・・・

そういう話を、原作・脚本の土橋章宏(『超高速!参勤交代』シリーズのひと)がうまく物語を展開し、犬童一心が巧みに監督しています。
犬童一心監督は、このあと製作した吉永小百合主演『最高の人生の見つけ方』も巧みに監督しており、ここのところの充実ぶりは著しい。

記憶しておきたいところは、ふたつ。

ひとつは、引っ越し歌とでもいうべき、士気を高めるための作業歌のシーン。
作業中と道中で歌うのだけれど、和製オペレッタ『鴛鴦歌合戦』を彷彿とさせる。

もうひとつは、春之介が国替え作業の陰の立役者・於蘭(高畑充希)に夫婦になってほしいというシーン。
ここは、「出たぁ! 松竹のお家芸、三つ指!」、小津映画で幾度も繰り返された三つ指ついて・・・のシーン。

ということで、楽しく鑑賞いたしました。

なお、タイトルの「引っ越し大名」を演じているのは及川光博で、星野源が演じているのは「引っ越し奉行」ですから、念のため。
映画クイズのひっかけ問題として登場しそうなので、憶えておくといいかもしれませんね。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 33本
 外国映画25本(うちDVDなど 4本)
 日本映画 8本(うちDVDなど 0本)

旧作:2020年以前の作品: 36本
 外国映画19本(うち劇場鑑賞 2本)
 日本映画17本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
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