『ローズマリーの赤ちゃん』:不安なのは悪魔のせい、ああ、よかった! @DVD

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ロマン・ポランスキー監督の1968年作品『ローズマリーの赤ちゃん』、DVDで鑑賞しました。
アイラ・レヴィンの同名原作も遥か昔に読み、本作も以前テレビで鑑賞しているのですが、136分の長尺となって、かなりカットされているはず。
それでは「改めて観るとするか」ということでの鑑賞です。
さて、映画。

1964年、米国ニューヨーク。
あまり売れていない若い俳優ガイ(ジョン・カサヴェテス)と妻ローズマリー(ミア・ファロー)が、マンハッタンの古いアパートメントに引っ越してくる。
越してきた部屋は、過去に数々の暗い事件が起こった部屋だとふたりの友人の初老の童話作家は話すが、ふたりはきかずに住むことに決めた。
隣室のカスタベット夫妻(シドニー・ブラックマー、ルース・ゴードン)は親切な老夫婦のようで、住む処もないという若い女性テリー(アンジェラ・ドリアン)を居候させている。
しかし、ある日、テリーは窓を突き破って投身自殺をしてしまう・・・

といったところからはじまる物語で、その事件をきっかけにして、ガイとローズマリーはカスタベット夫妻と知り合い、何かにつけ世話を焼かれるようになるが、ある夜、ローズマリーは夫ガイに乱暴に犯されてしまう。
しかし、その夜の出来事は幻覚だったのか・・・
ローズマリーの肌には忌まわしいひっかき傷が残っている・・・
その後、妊娠したローズマリーは何かにつけて気に病むようになり、精神的に衰弱してしまう・・・

と展開する物語は、基本的には驚くようなことは起こらない、ひたすらローズマリーが衰弱し、精神が不安定になっていくさまをじわじわと描いていくだけで、現代の直截的な恐怖シーンの多い映画に慣れた観客には、「何、これ?」と思うかもしれません。

そんな、ほとんど何も起こらないような中盤から後半にかけてのポランスキー演出は、時に長廻しを使用して緊張感を盛り上げます。
特に秀逸なのは、終盤、以前受診した産婦人科医に公衆電話を掛けるシーンで、電話ボックスの向こう側に何人かの人物を行き来させつつ、ローズマリーの緊張が高まっていくのを巧みに演出しています(当然、ミア・ファローのエキセントリックな演技も素晴らしいです)。

そして、もうひとつ気づくのは、長廻しを使うことで、ワンシーンワンシーンが長くなるので、尺を詰めるためか、カット尻が驚くほど短いシーンが多く、観客をせっつかせているような感じがすることです。

結果、カスタベット夫妻を含め、アパートの住人は悪魔崇拝者で、ローズマリーが産み落とした赤ちゃんは悪魔の子どもだった、というのがオチなのですが、ポランスキーは不気味な赤ちゃんの姿を映すことなく演出します。
ただし、赤ちゃんの姿を見たローズマリーが半狂乱となるシーンで、赤ちゃんの不気味な目のアップが二重写しされるという手法をとっています(もしかすると、赤ちゃんでは親の顔のアップかもしれませんが)。
ここはかなりのショック描写で、以前テレビでみた際にも、強烈に印象に残っているシーンでした。
(似たような演出では、『サイコ』のラスト、拘束衣を着せられたアンソニー・パーキンスがニヤリを哂うシーンに骸骨が二重写しされるのを思い出します)

この映画、ストーリーとしては何ほどでもないのですが、緊張感あふれる演出がすごいです。

ですが、当時、大ヒットを記録したのは、どういう理由からなのかしらん、と考えてみると、ベトナム戦争も泥沼化、不安な世相の中、そんな不安の原因が「悪魔のせい」だとしたら・・・

ああ、よかった! 不安なのは、悪魔のせいなんだ!
ってことで、キリスト教世界のひとびとは安堵したのかもしれませんね。

ま、そんなことはないかもしれませんが・・・

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:42本
 外国映画24本(うちDVDなど10本)
 日本映画16本(うちDVDなど 6本)

旧作:2021年以前の作品:71本
 外国映画46本(うち劇場鑑賞 4本)←カウントアップ
 日本映画25本(うち劇場鑑賞 5本)
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