『浜の朝日の嘘つきどもと』:アカデミー助演女優賞は大久保佳代子に決まり @ロードショウ

浜の朝日の嘘つきどもと.jpg

タナダユキ監督・脚本の最新作『浜の朝日の嘘つきどもと』、ロードショウで鑑賞しました。
早速、映画。

福島県南相馬にある古い映画館・朝日座。
閉館を決めた館主・森田(柳家喬太郎)のもとへ、ふらりと若い女性(高畑充希)が現れる。
彼女が言うには、自分の人生を救ってくれた恩師・田中茉莉子(大久保佳代子)の最期の願いを叶えるためだという。
しかし、森田は、もう閉館は決めたことと言って取り合わない・・・

といったところからはじまる物語で、古くからある映画館の立て直し(建て直しではない)映画かと思っていました。

ま、その側面は大いにあるのですが、こりゃ「女」の物語ですな。

とにかく印象深いのが、主人公の恩師役・大久保佳代子で、脚本時点でアテ書きと思うほど、キャラクターがピッタリとハマっている。

芯はしっかりしているのだけれど、ちょっとだらしない。
だらしないかと思うと締めるところは締める。

したたか・・・というのとはちょっと違う、女のずぶとさ。
劇中、彼女が男に振られるたびに観るのが、1975年の松竹映画『喜劇 女の泣きどころ』(瀬川昌治)だけれど、その当時の松竹映画の「女」シリーズを思わせるようなキャラクター。
監督・脚本のタナダユキも、意外と図太く繊細なのかもしれません。

そんな女の生命力と(といっても最期は死んじゃうんだけど)ともに描かれるのが、東日本大震災以降の日本の姿。

主役ともいうべき朝日座は震災をきっかけに衰退、地方の街は疲弊の一途。
主人公の一家は、父親は事業で成功するものの、最終的には一家離散。結果、主人公は「家族の絆は幻想」というところに至ってしまう。
茉莉子の最期の恋人はベトナムからの技能実習生で、その実、搾取されるだけの安価な労働力・・・

と、現実世界が重くのしかかっていきます。

そんなこんなの中、最後の最後に朝日座はやり直しの道を再び歩みだすことになるのだけれど、その助力は、

クラウドファンディングと地域コミュニティ、
朝日座を愛してやまなかった茉莉子の遺産(実際には、恋人で後に夫となるベトナム人が代行するのだが)、
それと、仲たがいしていた主人公の父親の援助、

と三方でおさまるわけで、この枠組みには、国の支援がない。

ここいらあたりが、タナダ監督のリアリズムの肌感覚といったところで、とても好ましいです。

映画的には、主人公と恩師・茉莉子の物語に比重が置かれ、朝日座館主とのやり取りは、ほぼ映画館の前の広場(というか空き地というか)で展開されるのが、映画の画的には寂しいところ。

とはいえ、オリジナル脚本でのチャレンジ映画でもあり、そう悪くは評価できませんね。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

なお、館主セレクトの困惑の2本立て(本人は思っていないが)は、『トト・ザ・ヒーロー 』&『怪奇!! 幽霊スナック殴り込み!』、『永遠と一日』『北京原人 Who are you?』。
『怪奇!! 幽霊スナック殴り込み!』は未見なので調べてみたら、タナダユキ主演じゃありませんか!
うーむ、観てみたい!

おまけに、お客様ダイ感謝祭として企画していた「ダイ」の付く映画2本立てなら、
『大統領の陰謀』と『ダイヤモンドは傷つかない』、『ダイヤモンドの犬たち』と『大統領の理髪師』、『第七の封印』と『第七の予言』なんてのもあるかなぁ。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:43本
 外国映画25本(うちDVDなど11本)
 日本映画18本(うちDVDなど 6本)←カウントアップ

旧作:2021年以前の作品:74本
 外国映画49本(うち劇場鑑賞 4本)
 日本映画25本(うち劇場鑑賞 5本)
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