『海の沈黙』『白いリボン』:モノクロ、ドイツ、戦争の2本立て @名画座

キネカ大森にて鑑賞です。名画座としてはトップクラスのラインナップを連発している感があります。
鑑賞から1週間、じっくりレビューを書こう・・・と思いましたが、映画の出来栄えをうまく伝えられるか、自信がありません。
とはいえ・・・

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『海の沈黙』は、第二次大戦下で書かれたレジスタンス小説の映画化。
名匠ジャン=ピエール・メルヴィル監督の処女作です。

フランスを掌下に収めたナチス・ドイツ。フランスの田舎の村に指令所を構えます。
所長のドイツ将校が寄宿する先は、村の民家。
民家の主は知識人で、姪がひとり。二人暮し。

ドイツ将校は、かつて音楽を志し、フランスにも造詣が深く、宿の主と姪に夜毎居間を訪れて、語りかけます。
しかし、主も姪もひと言も応えません。

饒舌なドイツに対して、フランスは沈黙での抵抗、といったところです。
メルヴィル監督は、オーソドックスで無駄を省いた演出で魅せていきます。

ドイツはパリを占領し、先のドイツ将校がパリの指令所を訪れると、他のドイツ将校たちは「フランスの文化を徹底的に破壊することで、フランスの抵抗精神を叩きのめし、隷下に収める」といって憚(はばか)りません。
ショックを受けたドイツ将校は、田舎の寄宿先へ戻り、宿の主と姪に、パリでの出来事を憤りとともに伝えます・・・

戦下であるため、交わされることのなかった、交わすことができなかった信頼、友情。

ドイツ将校を見つめる、見返す姪のショットが印象的でした。

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対して『白いリボン』、こちらは第一次大戦前の北ドイツの村のはなし。
ミヒャエル・ハネケ監督、カンヌ・パルムドールを受賞した作品です。

男爵が治める村。
村でだたひとりの医師が落馬事故を負うところから始まります。
はじめ、事故に見えた医師の落馬は、細い鉄線が張られたもので、明らかに人為的でした。

その落馬事件をきっかけにして、村では事件が相次いで起こっていきます。
小作人の妻の転落事故死、男爵の息子の行方不明と暴行、神父の乳飲み子の発熱、男爵家納屋の火災、智恵遅れ少年への暴行・・・

陰湿で忌まわしい事件の数々。
それを隣村の仕立て屋の息子である学校教師の回想という型で語られていきます。

事件の犯人はなかなか明らかにならず物語は進んでいくのですが、事件が起こる原因となる村の体質・性格が徐々に明らかになっていきます。

男爵の圧政、キリスト教プロテスタント派のいきすぎとも思える厳格さ、医師による家族・看護人に対する虐待。
映画は直截的な表現を避けて、それらの様子をじわりじわりと描いていきます。

ここいらあたりの表現はミヒャエル・ハネケ監督、独特・特有な感じがします。

しかしながら、かなり探偵小説・探偵映画の趣があります。
語り部の学校教師は、その風采のあがらなさも含めて、まさに探偵。
村を牛耳て、ひたひたと毒を浸透させていくのは、地主である男爵、信仰を司る神父、命を司る医師。
むふふふ、横溝正史の「獄門島」と同じですねぇ。

これで最後に、語り部である学校教師が一同を集めての大団円があれば、まさに探偵小説・探偵映画の趣なのですが、ハネケ監督は「よく観ていれば判るだろう」と言わんばかりに、そんな手法は採りません。
ですが、犯人(たち)は明らかです。

厳しい抑圧から逃れる術として事件を起こしたこの犯人(たち)が後のナチズム、と捉えられ、解釈されていますが、それはそれでツマラナイ。
単純に『恐るべき○○たち』と観る方が、より恐ろべしいと思うのですが、いかがなものでしょうか。

ただ、ハネケ監督の作品は、過去のドイツの恐ろべしい物語であっても、現在のわたしたちにも少なからず気持ち的に通じるところがあるような気がします。

厳格で、杓子定規で、利己的で、排他的で、横暴な・・・
これらの言葉の組み合わせは、どことなく、エコノミックな企業社会に通じるような感じがして、どことなく、かなり、薄ら寒い思いをしました。

両作品とも、評価としては★4つとしておきます。

最近観たミニシアター映画のレビューはコチラから
⇒『メアリー&マックス
⇒『100歳の少年と12通の手紙
⇒『メッセージ そして、愛が残る
⇒『悲しみもミルク
⇒『トゥルー・グリット
⇒『パリ20区、僕たちのクラス
⇒『英国王のスピーチ
⇒『ヤコブへの手紙
⇒『しあわせの雨傘
⇒『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人
⇒『人生万歳!』
⇒『クリスマス・ストーリー

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2011年映画鑑賞記録

 新作:2011年度作品
  外国映画 9本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 1本)
  日本映画 4本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 1本)

 旧作:2011年以前の作品
  外国映画22本(うち劇場 4本)←カウントアップ
  日本映画 1本(うち劇場 0本)
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