『ゴーストライター』:息詰まる演出、でも脚本が弱いなぁ @ロードショウ・シネコン

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名匠ロマン・ポランスキー監督の息詰まるサスペンス・スリラーです。
巻頭の、夜の港にフェリーが近づいてくるショット、どうということはないにも係わらず異様な緊張感です。
何せ最近の映画では、こんなにぶっきらぼうに始まることが少ないですから。

続くショットでは、フェリーから降りる自動車群。
1台の高級4WD自動車。
周囲の自動車はどんどんと下船するのに、その自動車は動かず。
周囲の自動車は、その自動車を避けて避けて、下船していきます。
遂に残された高級4WD自動車。

場面変わって、夜の砂浜。
死体らしき物体が波に洗われている遠景のショット。

おおぉ、ヒッチコック監督顔負けの素晴らしい冒頭ではありますまいか。
この不気味な佇まい。
色を極力押さえた演出。
まさにスリラー。

波打ち際の死体は、元英国首相の補佐官で、現在は元首相の自伝のゴーストライター。
執筆者が死んだことで、ユアン・マクレガーに白羽の矢が立てられます。

さて、前任のゴーストライターは、事故死か自殺か殺されたのか・・・
謎は深まります。

中盤までは色を押さえた演出で、スリリングに進んでいきます。

鍵を握ると思われる人物のもとをユアン・マクレガーが訪れます。
それも、件の、前任者の、残された高級4WDで。
残されたカーナビが、幽霊のように、ユアン・マクレガーのゴーストライターを、鍵を握る謎の人物の元へ。

このあたりの演出もゾクゾクします。

そして、鍵を握る謎の人物のもとで、事件の核心の糸口をユアン・マクレガーが見つけます。
ここから画面の色調が転調して、暖色を活かした画面となります。

ほほぉ、やるねぇデス。

さて、クライマックス。
事件の核心に気づいたユアン・マクレガーが、核心の人物にメモを渡します。
そのメモは、たくさんのひとからひとの手を渡って、核心の人物に届きます。

ここも、手から手へと渡るメモを、横に移動しながらワンカットで撮っています。
こういうケレン味ある演出が、スリラーには不可欠です。

そしてエンディング・・・

このあとは、映画館で観てください。
(あっ、浜村淳が乗り移った!)

スリラーらしい演出でゾクゾクくるのですが、意外にも、脚本が弱いです。

あんなところにある確証の品に誰も気づかないとか。
カーナビに鍵を握る人物への道筋が残されたままだとか。
鍵を握る人物の、その鍵的事柄がインターネットで簡単に調べがつくとか。
ゴーストライターが書いた自伝の冒頭が問題だということが、かなりダダ漏れだとか。

もうひとつ巧くないのは、後任のゴーストライター、ユアン・マクレガーが前任者が書いた文章を消すこと、そして、消した文章から事実が蘇ることの皮肉さが、あまり巧く活かされていません。
添削で、文章を消すことをdead(死に)、消した文章を復活させることをalive(生き)というのですが、その「死に」「生き」が正に「ゴースト」なのに・・・

とはいえ、本格的に面白い映画であることは間違いないです。

功労者は、トーゼン、監督のロマン・ポランスキーですが、元首相役のピアース・ブロスナンがはまり役。
007時代から、どことなく裏切りそうな、なんとなく誠実でないような雰囲気が、この映画には不可欠でしたから。

評価は★4つとしておきます。

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2011年映画鑑賞記録

 新作:2011年度作品
  外国映画29本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 6本)←カウントアップ
  日本映画11本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 2本)

 旧作:2011年以前の作品
  外国映画29本(うち劇場 5本)
  日本映画 5本(うち劇場 0本)
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