『起終点駅 ターミナル』:男たちよ、逃げるな、戦え @ロードショウ・一般劇場

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佐藤浩市主演の『起終点駅 ターミナル』、ロードショウで鑑賞しました。
主演の佐藤浩市は今年『愛を積む人』でも北海道を舞台をした映画に主演しているので、北の大地が似合うのかしらん。
そういえばイーストウッド映画の翻案『許されざる者』も北海道が舞台でしたね。
さて、映画。

かつて北海道・旭川で裁判官をしていた鷲田完治(佐藤浩市)。
いまは60歳を出たか出ないかのあたりで、釧路で独り暮らしをしている。
旭川裁判所時代に、かつて大学時代に寝食を共にした結城冴子(尾野真千子)と法廷で顔をあわせて以来、焼けぼっくいに火が付いた形で男女の仲が燃え上がった。
家族を捨てて一緒になると鷲田は言ったが、決意の日に冴子は鷲田の眼の前で自殺してしまう。
それから、鷲田は逃げるような独り暮らし。

ある日、覚醒剤取締法違反の罪で起訴された椎名敦子(本田翼)の弁護を受けて法廷で結審した鷲田のもとに、敦子が現われる・・・

というハナシ。

何らかの罪咎の意識にあって逃げてきた男が、もういちど、やり直そうと決意する物語。
それほど、珍しい話でもない。

とすると、この映画、どのように観客の興味を引きずっていくかが見所。

若い女に絆(ほだ)されて・・・
<あっ、ほだす、って絆(きずな)って字なんですね>
というだけではつまらないし、そう簡単に絆される男には共感しない。

この映画、同年代(といっても少々歳下なんですが)の男性にとっては、かなり居心地が悪い。

かつての恋人が目の前で自殺した後、その場から逃げてしまう男に、観客としてはどう対処していいのか困惑してしまった。
そう、絵空ごとなら、この恋人の近くで嘆き悲しむとか、そんなことが考えられ、それならば却って感情移入(というか、俺もこうなりたいなぁと無意識で思う)わけだけれど、逃げて、それもホームの階段を五・六段あがったところで転こんでしまうのだから、このような無様な男(自分に近しい男)に対して、どのように感ずればいいのか。

それも、この出来事は昭和から平成に変わるときのこと。
巷では「24時間、戦えますか」なるCMも喧(かまびす)しかったころのこと。
そんなぁ、24時間なんて戦えないよ・・・
と判ったのは、後の事。
このときの、イケイケドンドンをいいことに、男たちは知らず知らずに逃げていた。
そう、思う。

そして、この映画のキーワードは「戦え、鷲田完治」。
つまり、逃げるな、男。

カッコいい見てくれの佐藤浩市が演じているから様になるが、基本的には「逃げている男」の映画。
逃げるな、男。
結構、重く圧し掛かってきましたよ。

でも、映画はちょっとだけ猶予を与えてくれる。

最後、主人公は釧路から東京に向かうのだけれど、それを鉄道で行こうとする。
その時間は長い。
主人公は決意してその鉄路の上にあるけれど、観客(の男ども)はまだ列車に乗らない。
さて、乗る決意はあるのかどうか。
猶予は与えられたようだ。

評価は★★★★(4つ)としておきます。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:107本
 外国映画76本(うちDVDなど17本)
 日本映画31本(うちDVDなど 5本)←カウントアップ

旧作:2015年以前の作品:117本
 外国映画94本(うち劇場17本)
 日本映画23本(うち劇場 8本)
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