『人生フルーツ』:このニュータウンの片隅に @名画座2本立て

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久しぶりに名画座での2本立てです。
映画はいずれもドキュメンタリー。
1本目は『人生フルーツ』。
2017年キネマ旬報文化映画ベストテン1位の作品で、昨年お正月にロードショウされて以来、延々と続映されてきた映画です。
さて、映画。

愛知県春日井市・高蔵寺ニュータウンの一隅に暮らす90歳の建築家・津端修一さんとその妻・英子さん。
ふたりは300坪の土地に一間しかない小さなお家を建て、庭には数十種類の樹々や作物を植えて暮らしている・・・

というところから始まる物語で、そんなふたりの姿を静かに静かに写していくドキュメンタリー。

まぁ、老夫婦のドキュメンタリーというのは近年流行のようで何本も作られていて、それほど珍しくはないと思うだが、興味深いのはニュータウンの片隅で、ちいさな里山を再現するかのような暮らしをしているという点。

高校時代にフィールドワーク中心の地理歴史研究クラブに在籍し、大学時代に社会学を専攻した身としては、土地の変遷の方に関心が奪われます。
ましてや、高蔵寺ニュータウンが伊勢湾台風の被害を二度と繰り返さないようにと高台につくられたニュータウンであるとか(東日本大震災後の復興住宅に似ている)、被写体である津端さんがそのニュータウンの当初の設計責任者であるとか、さらに、自然と近代化の調和目指した当初の設計から外れていくことで退き、その抵抗のようにニュータウン内でのちいさな里山復興(復権)の家を自力で建てたとか、そういうエピソードに惹かれます。

考えると、自然と近代化の調和は難しい。

自然の循環スピードと経済(近代化)の循環スピードは異なっていて、経済の循環スピードが速すぎるがゆえに、経済優先の考えのひとびとは、かえってインフラストラクチャを堅固で壊れない(そのため画一化した)ものとして作ってしまう。

自然と経済とインフラストラクチャと、そして、ひとの一生と、その循環のスピードに折り合いをつけることはできないのだろうか・・・
そう、映画を観ながら感じました。

ま、そんな風に観ていたので、現在の高蔵寺ニュータウンのひとびとの暮らしぶりがどうなっているのか、そこのところが気になりました。
おふたりとの対比がされていれば、一段と興味を惹いたのですが。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:23本
 外国映画18本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 5本(うちDVDなど 0本)

旧作:2018年以前の作品:18本
 外国映画13本(うち劇場鑑賞 1本)
 日本映画 5本(うち劇場鑑賞 1本)←カウントアップ
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