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zoom RSS 『ただいま それぞれの居場所』:老い衰えても、フツーに暮らしていくこと @ロードショウ・ミニシアター

<<   作成日時 : 2010/04/17 22:53   >>

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介護保険が成立して10年目。
「画一的な介護制度に疑問を抱く有志が、それぞれ理想の介護を実現させるための施設や事業所を立ち上げた姿を追うドキュメンタリー(yahoo!ムービーより)」ということであるが、ひとは皆、老いて衰えていく、そんな中での「暮らし」を、「介護のいう言葉で括られがち」の現場に密着したドキュメンタリーです。
いやぁ、なんといってもすこぶるつきの面白さです。

この映画は、介護の現場を描いた三部作の三作品目。
前作は『よいお年を』『青葉のころ』と題して、本作品にも登場する埼玉県のグループホーム「元気な亀さん」での暮らしを追ったものでした。
既存の制度の枠組みからはみ出したところを補うようなホームの姿を追って、「老いることも、悪くないかも」とおもった作品でした。

さて、この映画では、制度の枠組みでは収まらないような現場を「元気な亀さん」を含めて、4つのホームのありのままの姿を描いていきます。

「あいのままの」というと、「介護の現場だから、当然、修羅場だよね」なんて想像するかもしれませんが、そんなことはありません。
たしかに「汚れ仕事」はありますし、「枠に収まらない」仕事だってあります。
人生の先輩方も、まるで子供に還って、ごねたり無茶をいったりもします。

でも、よく考えれば、普段わたしたちが行っている仕事だって、無理や無茶や無理難題や汚れ仕事がほとんどです。
「経済」「ビジネス」という、なんだか判ったような、その実、判らない尺度で、誤魔化されている分だけ、性質(たち)が悪いかもしれません。

この映画に登場するひとびとは、無理や無茶や無理難題や汚れ仕事を、そんな「経済」「ビジネス」の尺度では考えてません。
もっと根源的な、「生きる」という尺度で捉えています。

だって、ひとは皆いつしか老いるのだし、それまでがんばってきた分、無茶や無理もいうだろうし・・・
そういう観点で「暮らしている」映画なのです。

そして、そういう暮らしを選んだのが、まだ、30代のひとびとだということです。

おっと、なんだが美辞麗句を並べるようなことになったのですが、この映画、心根の部分だけではありません。
登場するひとびとが魅力的なのです。

介護する側も、される側も。
(というよりは、暮らす場所を提供する側も、される側も、というのが適切かも)

徘徊癖があり、7つの施設を追い出された女性。
彼女は、ただ、興味のあるところを巡っていただけ。「元気な亀さん」へ入所して2ヶ月、スタッフが毎日毎日ついてあげたら、その後ピタリと収まった。
いつも、愉しく踊って、周囲を和ませてくれています。

幼少のころ(戦前)、パラオで暮らしたという老人。
塗装業を引退した今でも、塗装業に精を出していると、時折、混濁します。別居した老妻との再会の場面が可笑しい。
「どちらさまでしたっけ?」
でも、すぐに気づいて、仲睦まじい。

夫と息子を亡くして、いつでも申し訳なさがっている老女。
80歳を過ぎても、口跡がシッカリとしていて、詫びる言葉がバカ丁寧で、なんだか滑稽。

30歳の若い男性スタッフ。
時折、自分の居場所が判らなくなる老女から、ポカポカ殴られても、「混濁している彼女の意識が正しいんだよね、周りが彼女にとっては嘘なんだよね」と。
ホームでは、年配の人々のケアをしているけれど、自宅へ帰るとビックリ。
90歳を越えた祖父と二人暮し。
この祖父が元気なものだから、彼は「じいちゃんに養ってもらってます」という。
映画の撮影期間中に結婚した。
その後は「妻とふたり、じいちゃんに養ってもらってます」とのこと。

まだ、老いて衰えるまでには少し間のあるわたしですが、でも、そのあたりまで迫ってきているのは事実。
「介護」という言葉で括って、「他人事」にしてしまうことには抵抗があります。
「介護」という言葉が、老い衰える前と後の暮らしを線引きしたようにも思えます。

老い衰えても、「フツーに暮らしていく」ってことを、しみじみ感じました。

評価としては、★5つです。
なにせ、すこぶる面白いドキュメンタリーですから。

↓公式HPはコチラから↓
http://www.tadaima2010.com/

↓Myムービーのレビュー&採点はコチラから↓
http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id336183/rid1/p0/s0/c0/

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2010年映画鑑賞記録

 新作:2010年度作品
  外国映画 16本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 1本)
  日本映画 6本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 1本)←カウントアップ

 旧作:2010年以前の作品
  外国映画 11本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 9本)
  日本映画 9本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 8本)
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“普通の暮らし”をするのに人の助けが必要になった人が
最後まで、おだやかに笑っていてくれるように。
それを支える人たちが「若い人たち」なのがサワヤカでした。

若いって、それだけでいいですね。年をとると、くすみます…
幼児は、いるだけで癒し。
あそこにある、思いやりと心のゆとりが素晴らしい。
そう思いました。
優駿
2010/04/21 08:55

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