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zoom RSS 『テナント/恐怖を借りた男』:被害者は、被害者だと思った瞬間から被害者になる @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2015/06/19 22:23   >>

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今週は、さながら名匠・巨匠週間のよう。
ロベール・ブレッソン監督『やさしい女』、スタンリー・キューブリック監督『バリー・リンドン』の前に観たのが、これ。
ロマン・ポランスキー監督の『テナント/恐怖を借りた男』、1976年製作の日本劇場未公開作品。
製作直後は、CIC配給で日本公開の予定もあり、スクリーン誌やロードショー誌での紹介記事もみたことがあるのだけれど、結局は劇場未公開に終わった。
TSUTAYAの発掘良品の企画で初DVD化になり、うーむ、この企画、ちょっと侮れないです。
さて、映画。

ポーランド系フランス人のトレルコフスキー(ロマン・ポランスキー)は、ある日、空き部屋をみつける。
住宅難のパリで、由緒あるアパルトマンは滅多に出ない由。
借りることにしたその部屋は、先の住人が先日窓から投身自殺を試みた部屋だったが、気にせず借りたトレルコフスキーは、徐々に精神を病んでいくことになる・・・

というハナシ。

一応は怪奇譚であり、日本的な因縁噺のような筋立てだが、映画の肌触りはまるで違う。

前住人とトレルコフスキーの間には一切関係がない。
しかしながら、自分も前住人と同じく投身自殺をするのではなかろうか、動転していくハナシなのである。

この映画の核は、たぶん、
「被害者は、被害者だと思った瞬間から被害者になる」
というものだろう。

ユダヤ系ポーランド人のロマン・ポランスキーは自身もユダヤ人狩りの遭っているし、妻シャロン・テートも異常者に惨殺されている。

この現実を、ローラン・トポールのブラック小説を借りて、自分なりに決着(おとしまえ)をつけようとしたのではありますまいか。
次回作では、運命の翻弄される女性を描いた『テス』を撮り、しばらく時間を置いた後、サイレント期ハリウッド映画にオマージュを捧げた『ポランスキーの パイレーツ』、未知のパリで災厄に巻き込まれる男の『フランティック』と撮っている。
が、自身の監督作品で自身が出演したのは、ミイラ取りがミイラになる(なりそうな)1967年『吸血鬼』以降、この映画が最後である。

過去の体験から「被害者は、被害者だと思った瞬間から被害者になる」と思っていたのも、この映画では反映されている。

特に前半、自室内のノイズや、隣家からのノイズ、そのノイズの演出が、肌を擦られるように痛い。
なぜ、こんなに嫌な思いをしなければならないのか・・・

それが高じて、「わたしを嫌な気持ちにさせている」という思いになり、ひいては「わたしを犠牲者にしようとしている」という思いにさせていく。
この前半は、すこぶる上手い。

対して、後半は、映画的なサスペンスがダダ崩れ。
前住人が遺した衣装を着て、化粧までするのは、なんのか。

「犠牲者にするならしてみろ」ということなのだろうが、あまりに大仰。

彼を助けようとするひとすらも、加害者(と彼が思っているひと)みえるカットバックは薄ら寒くて怖いが、どうも、ひとり合点な怖さに終始している。

ベルイマン監督の常連、スヴェン・ニクヴィストのカメラは秀逸。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:42本
 外国映画32本(うちDVDなど 5本)
 日本映画10本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:70本
 外国映画57本(うち劇場14本)←カウントアップ
 日本映画13本(うち劇場 3本)
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