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zoom RSS 『トム・アット・ザ・ファーム』:隠された同性愛的主題を読み解いてみる @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2015/08/19 18:18   >>

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昨年DVDで観た『わたしはロランス』に驚嘆したグザヴィエ・ドランの監督第4作目『トム・アット・ザ・ファーム』、DVDで鑑賞しました。
はじめての原作もの(舞台劇を映画化)のサイコ・スリラーという触れ込みなので、これまでの(このあとも)作品と違うのかしらん、と少々構えて観てみました。
さて、映画。

友人の葬儀のために、故人の生家を訪れたトム(グザヴィエ・ドラン)。
故人ギョームとトムとは同性愛の間柄。
母親のアガットには、ギョームが同性愛だった事実を隠している兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)は、暴力でトムを威嚇し、彼を支配下に置こうとする・・・

というハナシ。

しかし、それは表面上だけで、かなりの秘密が隠されている。

ドランは「原作戯曲を映画化する際に、かなりの説明的な台詞を割愛し、画面でみせるようにした」と同時収録されているインタビューで答えている。

意識的に注意して観れば、次のことが窺い知れる。

@兄フランシスは同性愛者である。
A弟ギョームは、バイセクシャルである。
B兄弟間に、兄の暴力による性的関係がかつてあった。
C母親アガットは、兄弟の関係に薄々気づいているが、確信が持てない。
Dまた、母親はフランシスよりもギョームを溺愛している。
Eトムは当初、暴力によってフランシスに支配されていたが、その後、性的関係により支配されてしまう。

かなりの同性愛的側面が隠されているので、ドランがこの原作戯曲に魅かれたのも、なるほどと思われる。

@Eは、この映画の核であり、ここを見逃がすと、「旧弊な農村に捕まった都会の青年」のスリラーになってしまい、面白さが激減する。

そこを匂わすカットは多分にあり、例えば、

フランシスがトムをタンゴに誘うシーンと、フランシスがトムに暴力を振るうシーンはどちらもセクシャルに撮っているし、
傷ついたトムをフランシスが手当するシーンも同じくセクシャルに撮っている。

また、ギョームの偽りの恋人サラがやってきた後に映し出されるトムのベッドの横には、もうひとつのベッドがある。
さらに、サラに対してトムが帰れないと告げる理由も、フランシスとの間柄が双方合意の上でなければ、合点がいかない。

つまり、「同性愛者であるがゆえに、旧弊な村で、孤独な暮らしを強いられていた」フランシスに、トムはギョームの面影を見、そして、孤独に共感・共有し、フランシスはギョームの代わりのトムを見つけたということだ

BCは、少々曖昧だが、これも匂わすシーンがある。

ギョームが出奔前に残していった日記・手紙の類である。
この日記・手紙類があることをフランシスが知らず、母親アガットが持ち出してきた際に、恐怖におびえるカットがある。

そして、終盤、この日記・手紙類を残し、フランシスとアガットが家から姿を消してしまうが、それは、母親がこれを読んだために出奔し、フランシスが母親を探しに行った、と解釈できる。
(この間に、トムもまた逃げ出すことにするのだが)

むふふふふ、このように観ると、この映画、頗(すこぶ)る面白いでしょう。

ただし、ドランは、この物語を簡単に読み解けないように、映画的記憶や引用を用いて目眩まし演出しているで性質(タチ)が悪い。

冒頭に流れるミシェル・ルグラン作曲の『華麗なる賭け』の主題歌(原題「THE THOMAS CROWN AFFAIR」は、トムの事件)。

終盤、逃げるトムを追ってきたフランシスのUSAのジャケット(『イージー・ライダー』を髣髴とさせる)。
まるで、暴力的なフランシス=アメリカ、といわんばかりの衣装ではありますまいか。

面白く観れたのですが、ドランのナルシスト振りは少々鼻につくし、画面のフレームを弄(いじ)るあたりは、ちょっとやりすぎではないか、とも思える。

ということで、評価は★★★☆(3つ半)としておきます。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:63本
 外国映画49本(うちDVDなど 7本)
 日本映画14本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:93本
 外国映画78本(うち劇場15本)←カウントアップ
 日本映画15本(うち劇場 4本)
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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
もっと暴力的な作品かと思って、観るのを躊躇していたのですが、人間関係が監督の好みの関係で、結局いつものドラン映画の変型ねと言った感じで、面白かったです。
おすもうさん
2015/10/26 18:54

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