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zoom RSS 『クリーピー 偽りの隣人』:自己責任、自己責任といって洗脳する恐怖 @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2016/06/20 23:06   >>

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黒沢清監督最新作『クリーピー 偽りの隣人』、ロードショウで鑑賞しました。
(この後、フランスで撮った『ダゲレオタイプの女』の公開が控えているので、最新作ではないのかも。ということは、さておき)
毎度毎度期待して鑑賞してはガッカリすることの多い黒沢清監督。
何度ガッカリしても、新作が公開されると次々と観に行ってしまう・・・
なんとも、はや、なんといっていいかわからないけれど。
さて、映画。

大学で犯罪心理学を教える高倉幸一(西島秀俊)。
彼は元刑事で、刑事を辞めたのは一年前。
連続殺人犯の取り調べ中に、犯人が警察内部で人質をとって逃走し、その説得の最中に犯人に刺されてしまったのだった。

大学での教鞭を取り始めたと同時に、東京都下の一戸建てに引っ越し、妻(竹内結子)とふたり暮らしを始めることにした。
隣家2軒に挨拶に出かけると、両家ともそっけない対応。
特に、西野家の主の男(香川照之)は、若干人格障害ではないかとも思える行動だった・・・

というハナシに、6年前、東京都下の住宅街で起きた、未解決の一家三人失踪事件が絡んでくる。

タイトルの「クリーピー」は「不気味な」「気味の悪い」という意味で、映画全体が不穏な雰囲気に包まれている。
後から付けたサブタイトル「偽りの隣人」がほぼ映画の内容を暴露しているので、誰が事件の犯人か、隣家の男の正体は何か、というのは、ほぼほぼ読めてしまう。

しかし、この映画、抜群に面白かった。

西野家の男は不気味で異様なんだけれど、当初描かれる男の様子は、なんだこの程度ならフツーにいるじゃないかと思ってしまう。
静かな住宅地で、近所ともあまり付き合いがなく、休みの昼間にゆっくりしているときに呼び鈴を鳴らされれば、ま、不機嫌にはなるわなぁ、と。
たしかに、会話のやり取りなどは、うまくキャッチボールできていないので、ヘンだとは思うけれど。

で、この映画の面白は、そんな男がどんどん他人の心に入ってきて、支配下においていくところ。
支配するには、ある種のネタがあるのだけれど、そのような飴がないと、他人様を支配下におくことは難しい。
そして、ひとたび支配下に置いたならば、彼らの行動についての動機づけを「さも、彼ら自身が行った」と思わせる。
「自分に責任はない。やること(やったこと)すべては、お前たちの責任だ」と平然という。

これは「洗脳」にほかならないのだけれど、この「洗脳方法」の平然さと無責任な理論が怖い怖い、恐ろしい。

この洗脳方法、絵空事でないような感じがして怖かった。
すぐ、そこいらあたりにもありそうな感じ。

「やったことすべては、お前たちの責任」、この言葉、簡潔に言えば「自己責任」。

「オレがやっているのは、お前たちのためなんだよ」といいつつ、「結局、その責任はお前たち自身にあるのだよ」。
おぉぉ、怖い怖い。
いま、そこいらあたりで見受けられる情況と酷似してないか。

話は少し変わるが、この映画の中で描かれる「監禁」。
最近の映画では監禁が描かれることが多いように感じる。
昨年の『プリズナーズ』『特捜部Q 檻の中の女』、今年にはいって『ルーム』『シークレット・アイズ』『10クローバーフィールド・レーン』。
いずれも外国映画だけれど、とても気になる。

それぐらい、世間が閉ざされているということなのだろうか。

エンディングは一応ハッピーエンドだけれど、個人的にはハッピーエンドでなくてもよかったかもしれない。
(もう少し前で、終わってもよかった)
そうすれば、さらにさらに、不穏で不気味で、最高に後味の悪い映画になったと思われるのだが。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:45本
 外国映画30本(うちDVDなど 0本)
 日本映画15本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ

旧作:2016年以前の作品:55本
 外国映画46本(うち劇場 9本)
 日本映画 9本(うち劇場 2本)
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「クリーピー 偽りの隣人」
とにかく怖い。こっっえ〜!のである。香川照之が異常者で西島秀俊が過去に傷を持つ有能な犯罪心理学者であるという、ステレオタイプな配役だったとしても、だ。ラストのクライマックスに至るまでの展開は壮絶な心理戦であるにもかかわらず、香川照之が異常過ぎて怖過ぎて、それが見えてこない程に。そしてこの2人は生物学的な立ち位置が全く違うジャンルに位置しているようにさえ見えるのに(あ、つまりイケメンかそうでないかということも含めてね)、息がぴったりと合っていて、実は同じジャンルの出自なのではないかと思わせる。竹内... ...続きを見る
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2016/08/31 12:40

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
クリーピーなのは香川照之と思いそうだけど、登場人物全員クリーピーですね。西島秀俊はCMで良い夫、お父さんというイメージが強いので判りづらいかもしれませんが、よくみるとやはりクリーピーです。同じ役を香川照之がやったらと考えるとわかると思います。竹内結子も東出昌大もその他みんな変です。個人的には香川の役を笹野高史が演じたら一番怖いかも。だって頭の中では浜ちゃんの運転手さんですものね。
ぷ〜太郎
2016/07/11 16:25
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございます。
たしかに、全員、クリーピー、気持ちの悪いひとたちでしたね。西島秀俊の夫もよくよくみれば偏執狂的かもしれませんもの。
りゃんひさ
2016/07/11 21:46

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