キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『ボーダレス/ぼくの船の国境線』:争いのない特別な時間は、短く儚い @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2016/07/02 17:55   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

画像

昨年秋ロードショウのイラン映画『ボーダレス/ぼくの船の国境線』、DVDで鑑賞しました。
イラン映画というと、最近ではミステリー仕立てのアスガー・ファルハディ監督作品ぐらいしか公開されていなかったのですが、この映画は久しぶりにイラン映画らしい社会派映画でした。
さて、映画

紛争つづく中東イランとイラクの国境線上の川に留まったままの廃船。
場所的には、イラク領土内だ。
そこでは、ひとりのイラン人少年が暮らしている。
少年は、川で獲った魚を干物にし、拾ってきた貝殻を装飾品に加工して、それらをイラン側の小さな店に売って暮らしている。
そんなある日、イラク側からひとりの少年兵がやってきた。
武装した少年兵は、船の中での領地をしめすよう、縄で国境線を引き始める。
そして、数日後、周囲の戦闘が激しくなったある日、少年兵はイラク側から乳飲み子を連れて来、武装を解いた。
武装を解いた少年兵、実は、イラク人の女の子だった・・・

というハナシ。
全編を通して台詞はきわめて少ない。
特に、前半、イラン人少年の生活ぶりを描くシーンは極端に少なく、画で丹念にみせていきます。
イラン側から船に戻る際に、川の中を泳いで進むこと、船に上がるのも、船底の穴のから這い上がること、その穴に網を仕掛けていること、貝殻の装飾品は手製の道具を使って丹念に穴を穿つことなど。

そして、イラク人少年兵が現われてからも、台詞は増えません。
そもそも、イラン人はペルシャ語、イラク人はアラビア語をしゃべっているからで、会話による意思疎通はほとんど出来ないからで、ふたりの間から発せられる緊張感が画面から立ち上ってきます。

そんなふたりの間に、イラク人の乳飲み子が入ることで、関係が変化していきます。
船に引いた国境線は、いつしかふたりの間からは消え去り、乳飲み子を育てるために協力をし始めます。

しかし、そこへアメリカ兵が闖入してきて、事態は急変します。

このアメリカ兵が登場することで、映画はイラク紛争の縮図の趣が強くなってきますが、登場するアメリカ兵の描きかたにも興味を惹かれます。
アメリカ兵は、故郷に妻とふたりの子どもを残して戦地に赴いていますが、下の子の出産には立ち会うことができなかった。
そして、来る日も来る日も戦闘をし、命令によって何人ものひとを殺し、嫌気が差しています。
彼は、イラン人の少年にも、イラク人の少女にも、もちろん乳飲み子にも危害を加えるつもりはないのですが・・・

しかしながら、異なる文化背景、利害関係を持つ者同士が、理解して平和的に暮らせるわけなどないことを、映画は静かに示して終わります。
残酷ですが、それが現実といわんばかりに。

日本題名のサブタイトル「ぼくの船の国境線」もうまく内容を表していますが、ポスターなどの惹句(小さい方)、「少年が船の中で過ごした、争いのない特別な時間−−」というのも内容を上手く表しています。

評価は★★★★(4つ)としておきます。



------------------
2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:45本
 外国映画30本(うちDVDなど 0本)
 日本映画15本(うちDVDなど 1本)

旧作:2016年以前の作品:61本
 外国映画49本(うち劇場 9本)←カウントアップ
 日本映画12本(うち劇場 4本)
------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
何ともやりきれない感じですね。静かな反戦映画です。
今よりあの独裁政権下の方がイラクの人々は幸せだったのではないかと思うと、ますますやりきれませんね。
ぷ〜太郎
2016/07/11 15:42
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございます。
この手の映画、なかなか近所の映画館でかからないので、見逃していたものですが、さて、独裁政権下のほうがよかったのかどうかは別として、米国の外圧がよくなかったことだけは明らかだと思います。
りゃんひさ
2016/07/11 22:08

コメントする help

ニックネーム
本 文
『ボーダレス/ぼくの船の国境線』:争いのない特別な時間は、短く儚い @DVD・レンタル キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる