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zoom RSS 『愚行録』:斬新なスタイルの小説を巧みに映画化 @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2017/03/02 00:27   >>

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妻夫木聡、満島ひかり主演の『愚行録』、ロードショウで鑑賞しました。
同作は、貫井徳郎が2006年に発表した同名小説の映画化。
貫井作品はデビュー作の『慟哭』から本作と同年に発表された『空白の叫び』あたりまでは読んでいますが、ここ10年ばかりの作品は読んでいません。
原作小説も読んでいましたが、小説のスタイルは憶えていましたが、内容はほとんど忘れていました。
さて、映画。

週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は、妹・光子(満島ひかり)が3歳になる娘の育児放棄による保護責任者遺棄致死罪で逮捕されたことをきっかけに、1年前に起こった事件の再取材を始めることにした。
その事件とは、閑静な住宅街で起こったエリートサラリーマン一家惨殺事件。
当時も取材をしたが、その後、犯人は杳として不明のまま。
1年経ち、世間から忘れられようとしている頃だった。
田中は、殺された夫(小出恵介)と妻(松本若菜)の生前の姿を知る人々を訪ねて回るが、ふたりの素顔は表向きの明るいそれとは異なるものだった・・・

というところから始まる物語で、原作小説では、田中が訪ねていく人々の発言が順々に綴られていくもので、小説のスタイルとしては、かなり斬新なものだったと記憶しています。

そのほとんど実体をみせない人物を表に出して、物語を再構築した脚本をまずは評価したい。
脚本を書いたのは、『聖の青春』の向井康介
後半、一点の瑕(光子の弁護士が光子の母親を訪ねて云う台詞)があるが、それ以外はかなり巧みな出来。

映画は、殺された田向夫妻の悪行(愚行というよりも悪行に近い)を明らかにするとともに、ふたりのことを語るひとびとにも悪意があることを描いていく(いや、こちらを愚意と呼ぶべきか)。
そのあたりの人間の暗部を、新人監督の石川慶は、ピオトル・ニエミイスキの彩度の乏しいカメラワークで描いていきます。
このふたりは、ポーランド国立映画大学で学んだ盟友とのこと。

映画全体、まして斬新なスタイルの小説の映画化ということを考えれば、水準以上の力作。

ただし、これは原作に因るのかもしれないが、描かれる愚行の数々(田向夫妻以外のも含めて)が大学生時代を中心にした若い頃に集中していること。
まぁ、若いころというのは、愚かなのかもしれないが、なんだか厭な気分になってしまう(それが主題なんだろうけど)。
そして、その若い大学生時代の様子が、どうみてもバブル期のそれのようなこと。
原作が発表されたのが2006年なので、そこを現在とすれば、被害者たちの大学生時代はバブル期なのだが、映画の現在は現代。
これは、インタビューされるひとりが「日本は格差社会ではなく、階級社会なんだと気づきました」と言い、「格差社会」という言葉を使っていることからもわかる。
この時代感覚のズレは如何ともしがたかった。

出演陣では、主役のふたり(妻夫木聡、満島ひかり)が素晴らしい。
若い時分は、明朗な青年役ばかりだった妻夫木聡だが、『怒り』といい、ここのところ陰のある役が板についてきた感じ。
満島ひかりは、兄との間に秘密を抱えた役どころだが、いやぁ、なんともゾクゾクしてしまう。
彼女の代表作の1本にしたいところです。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:19本
 外国映画16本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 3本(うちDVDなど 0本)←カウントアップ

旧作:2017年以前の作品:17本
 外国映画14本(うち劇場鑑賞 3本)
 日本映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)
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愚行録
閑静な住宅街で一家惨殺事件が発生。 被害者は、会社員・田向浩樹、妻・友季恵、そして彼らの娘で、近所では仲睦まじい≪理想の家族≫として知られていた。 未解決のまま一年が過ぎ、週刊誌記者の田中は改めて真相を探ろうと関係者の証言を追い始める。 しかし、そこから浮かび上がってきたのは、田向夫妻の外見からは想像もできない噂の数々だった…。 ミステリー。 ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
力作ですね。ただ、妻夫木くんが、妹の犯行がバレてはいないかと探る目的で、当時の関係者をあたっていくという設定が、映画ではわかりにくいのが難点でした。それがわかっていないと、妻夫木くんがカフェのオーナーの女性をいとも簡単に殺害し、慌てることなく偽りの証拠を残していくことがスッと理解できないのでね。
ぷ〜太郎
2017/03/22 15:47
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございました。
個人的には、妻夫木くんは妹の犯行だと知らなかったのだと思います。原作では、そういう設定ですが。事件を探るうちに、そこへ行きつき、かつ、蔑まれ続けた妹が、ここでも蔑まれていることによる激情的犯行だと感じました。褒めた言い方をすると、少しドストエフスキーのような感じもしました。
りゃんひさ
2017/03/22 22:39

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