キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『彼らが本気で編むときは、』:尋常でない包容力を持ったひとのハナシ @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2017/03/02 14:39   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

画像

生田斗真がトランスジェンダーの女性を演じた『彼らが本気で編むときは、』、ロードショウで鑑賞しました。
トランスジェンダーの映画といえば、昨年の『リリーのすべて』が記憶に新しいところ。
あちらは事実を元に描いたトム・フーパー監督の力作であったが、こちらは『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督作品。
狙いや雰囲気が異なるのは、承知の助。
しかし、前作『レンタネコ』があまりにもパッとしなかったので不安も少々。
さて、映画。

小学5年生のトモちゃん(柿原りんか)は、母親とふたり暮らし。
しかし、母親は時折、トモちゃんを残して男の許へ走ってしまうことがある。
ある日、またしても、トモちゃんを残して、母親は出奔してしまった。
ひとりになったトモちゃんは、母親の弟マキオ(桐谷健太)が勤める書店を訪れる。
マキオに連れられていった彼の住まいで、トモちゃんは、性転換者のリンコ(生田斗真)と出逢う・・・

というところから始まる物語で、サイドストーリーとして、同性愛に悩む同級生の少年カイくん(込江海翔)の物語が絡んでいく。

異色の題材だが、奇妙なところなどまるでない、至極フツーの物語として、荻上監督はこれまで培った淡々とした演出で撮っていく。
これがとても好ましい。

ひとそれぞれに悩みはあり、そんな悩みがあることはフツーだし、そんな悩みを抱えているひとを優しく包んであげたい。
監督の、そんなやさしさが溢れている。
尋常でないかもしれないほどの、やさしさである。

しかし、そんなやさしさには、当然のことながら、簡単に到達できない。
ときには、怒り、悔しい思いもする。
そんなときは、そんな思いをぐっと飲みこんで、毛糸に一目一目ずつ託して編んでいく。
タイトルの『彼らが本気で編むときは、』は、そんな意味だ。

こんなことを劇中のリンコさんが言うわけだが、古いことで恐縮するが、森崎東監督の昔の映画で、「女は、悲しいとき、ぐっとこらえて、ごはんを食べるんだよ」という台詞を思い出したりもした。

この映画、ただやさしいだけでなく、終盤、凛とした気概もみせる。

出奔したトモちゃんの母親が戻ってきて、トモちゃんを連れ戻そうとする件、母親は女性性に基づく母性を振りかざすが、「女性や母性を振りかざす前に、親として弱いものを守ろうとしないの」と問うリンコは凛としている。
たしかし、シングルマザーには生きづらい世の中だ、だからといって、自己都合で子どもを打っ棄っておいていいはずはない。
リンコは戸籍上の性を変更した後は、マキオと結婚して、トモちゃんを引き取る覚悟があったからだ。

こう考えると、リンコもそうだが、マキオの包容力も尋常でない。

尋常でない包容力を持ったふたりのハナシなのだ。

リンコ、マキオ、トモちゃんの三人が毛糸で何を編んでいるかは、ここでは明かさない。
最後に、リンコがトモちゃんに渡す品物も、同じく明かさない。

それらの品物は性を象徴しているが、しかし、性から解放されていくことを考えると、かなり興味深く、かつユーモアに溢れている。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

画像


------------------
2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:20本
 外国映画16本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 4本(うちDVDなど 0本)←カウントアップ

旧作:2017年以前の作品:17本
 外国映画14本(うち劇場鑑賞 3本)
 日本映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)
------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
すごいな〜と思いました。世間の差別をぐっと飲みこんで生きているリンコも、それを受け容れて共に生きようとするマキオもすごい。そして何よりありのままのリンコを懐にいれ、世の中と戦ってきた、そして何かあれば今も戦おうとしているリンコの母親はもっとすごい。
ぷ〜太郎
2017/03/22 15:53
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございました。
飲み込み、受け容れる度量が大きくて感動しました。そこへ辿り着くまで、戦ってきたのだろうけど、そこをおくびにも出さないあたりが、また度量が大きいというわけで。
りゃんひさ
2017/03/22 22:35

コメントする help

ニックネーム
本 文
『彼らが本気で編むときは、』:尋常でない包容力を持ったひとのハナシ @ロードショウ・シネコン キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる