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zoom RSS 『ハングリー・ハーツ』:極端な菜食主義者の妻は鹿の化身かしらん @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2017/03/06 00:04   >>

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名画座でジョージア映画2本立てを観た後は、DVDでの落穂拾い。
1本目は、昨秋小規模ロードショウされた『ハングリー・ハーツ』。
主演は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『沈黙 サイレンス』のアダム・ドライヴァーと、『ボローニャの夕暮れ』『眠れる美女』のアルバ・ロルヴァケル。
「これはあなたにも起こりうる悪夢−禁断のパラノイド・サスペンス!」という謳い文句が添えられています。
さて、映画。

ニューヨークの中華料理屋のトイレに閉じ込められたことで知り合ったジュード(アダム・ドライヴァー)とミナ(アルバ・ロルヴァケル)。
ふたりは、恋に落ち、結婚し、子どもをもうける。
幸せそうな結婚生活のようにみえたが、ミナの極端な菜食主義は、胎児の発育に影響を及ぼし、それは生まれてきた赤ちゃんに影響を及ぼしていく・・・

というところから始まる物語で、徐々にエキセントリックになっていくミナとの間で結婚生活が破綻していくところにサスペンスが生まれるという映画である。

世間には害毒が溢れていて、肉類はもちろんのこと、市販品の粉ミルクや離乳食には毒が入っている・・・というミナの主張は、極端かもしれないが、清潔志向・不潔恐怖症的な現代では、あながちないとは言い切れないかもしれない。
なので、自分がつくった野菜のペーストしか赤ちゃんにあげない姿も、なんとなくわからなくもない。

が、映画では、ミナがそんな考えに憑りつかれてしまう理由を描いていないので、わかったようなわからないようなことになっている。
いや、もしかしたら、ミナがそんな考えに憑りつかれていた理由は描かれているのかもしれない。

結婚してすぐにミナが繰り返し繰り返し見るという夢。
夜の森の中で、何者かに撃たれて死んでしまう鹿の夢。
その死して横たわる鹿=ミナなのだろう。
これは、ジュードの実家の壁に多数の鹿の剥製が飾られていることも類推できる。

ただし、モチーフのレベルでしか、鹿が用いられておらず、なんらかの暗喩にまで表現が昇華できていないのは残念。
中盤、ジュードとミナの異様な夫婦生活を表現するのに超広角レンズ(魚眼レンズ)を用いたりと工夫はしているが、画のフレームが窮屈すぎたり、ワンシーンワンシーンが冗長だったりと、全般的に演出が粗っぽいのが原因であろう。

そんな粗い演出を補っているのが主演のふたりの演技。
2014年のヴェネチア国際映画祭で男優賞と女優賞のダブル受賞も、なるほどと思わせる。

ニューヨークを舞台にしているが、スタッフ・キャストの大半はイタリア人で、製作者もイタリア人。
ローマを舞台にした方が、もっと不気味な感じになったかもしれない。

評価は★★★(3つ)としておきます。

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2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:20本
 外国映画16本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 4本(うちDVDなど 0本)

旧作:2017年以前の作品:20本
 外国映画17本(うち劇場鑑賞 5本)←カウントアップ
 日本映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)
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第27回東京国際映画祭「ハングリー・ハーツ」
東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で鑑賞。ヴェネツィア映画祭でアルバ・ロルヴァケルが主演女優賞を、アダム・ドライバーが主演男優賞を、とダブル受賞をしている。 告知ビジュアルと(ポスターの方ではなくパンフレットなどでの紹介ビジュアルの方)、作品の展開のギャップが衝撃的である。というか、最初は中華料理屋のトイレに閉じ込められた二人の男女の、そこを出会いのきっかけとした他愛のない恋愛譚だと思わせておいて…そこから、この展開になるとは全く予想できなかった!しかし、主演のミナのようなこういった、ある種... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2017/03/10 16:17

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。弊ブログにご訪問下さりありがとうございました。
ミナがこうなってしまった背景には、妊娠中に自然主義的な教義と出会って、自分の子供はインディゴなのだ、と思ってしまったことにあるのではないか?と思っております。
妊娠・出産を機会に地球環境や生態系に思いを巡らせることはよくあることだと思いますが、ミナの場合はそれが極端に走ってしまったのでしょうね。
ここなつ
2017/03/13 12:47
ここなつさん、コメントありがとうございました。
ミナがのめり込んでいくキッカケが、占い師から「あなたの子どもはインディゴよ」と言われたのはわかったのですが、それが何を意味するのかがわかりませんでした。
調べてみると、藍色の魂を持つ子ども(インディゴ・チルドレン)という概念がスピリチュアルな教義の中にあり、使命を帯びた子どもというものらしいです。
ふむふむ、といったところです。
りゃんひさ
2017/03/13 14:20
不幸な結婚でしたね。それを暗示していたのがミナが繰り返しみた不吉な夢。狩るものと狩られるもの。結果はわかりきっているので、ミナがインディゴだと信じていた子供は、単にきっかけにすぎないと思います。ただおっしゃる通リ、鹿を暗喩にするには深みが足りず、二人の間の子供の位置づけまでは手がまわっていないので、興味深くはありますが、完成度としては低いかな。
ぷ〜太郎
2017/03/22 15:25
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございました。
狙いはおもしろいけれど、映画的な完成度はいまひとつといったところでしたね。
りゃんひさ
2017/03/22 22:49

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